夢見る男の子 ページ32
そこでフレッドは目が覚めた。
仰向けに寝ていた為、後頭部の髪はすっかりペシャンコで汗がじんわりと滲んでいた。
現実の方でも左手を握りしめていたのか、手のひらが真っ赤になっている。
未だ余韻が抜けない。
どこかは行かなければならなかった焦燥感と
綺麗なあの子と一緒にいた幸福感と_____
________深い悲しみと。
「うわぁ...どんな顔だったっけぇ......！」
フレッドは起き上がって膝を抱えた。
せっかく最後の最後で顔を見たのに、もう思い出せないのだ。
フレッドの脳には、"顔を見た"という事実だけがこびりついていた。フレッドは必死に脳の引き出しを開けては閉めてはを繰り返し、引き出しに詰まったものを引き摺り出しては、これでもないあれでもないと、ポイポイ捨てている。
しまいに残ったのは、奥の奥に何かが挟まった引き出しだ。それを引っ張り抜こうにも、あと少しのとこで手が届かない。
あと少しで思い出せそうなのに______！！フレッドはどこにも当たれない悔しさを感じていた。
隣で呑気に寝てるジョージやリーが妬ましい。
俺がこんなに思い悩んでいるのに、コイツらときたらスヤスヤと眠っていやがる。親友と相棒の悩みに寄り添おうとは思わないのか、とフレッドは拗ねた。
「...もう一回寝たら、また見られるかな」
フレッドはもう一度ベッドに入り目を閉じた。
またあの子に会えることを願って。
しかし夢に見たのは、フィルチとお揃いのハゲ頭になって残った数少ない髪の毛を振り乱しながらマクゴナガル先生の前でラブビームを発射している自分と、それに向かって「ウインクして♡」「イタズラして♡」と書かれたうちわを振るAの姿だった。
「どうしたフレッド、夢見る乙女みたいな顔して」
すっかり朝になって目を覚ましたジョージは、
二度寝から目を覚ましたフレッドに問いかけた。
「あぁジョージ_____俺は夢を見たんだ...久々に胸が高鳴ったさ...でも...」
「でも？」
「思い出せないんだ....せっかく顔が見れたのに」
顔が見れたのに、その言葉を聞いてジョージはドキリとした。
まさかあのぶつかった子の事を言ってるのか、と。
確信はなかったが、あの子はAだとジョージは思っている。
「良い夢だったのになぁ」
思い出そうとするフレッドに、ジョージはどうか思い出さないでくれと思ってしまった。
俺にもまだ少し夢を見させてくれ。俺しか知らない、秘密のままで。
そう願った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 168人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちとせ(プロフ) - ちぢぶさん» レスにレス失礼します、ええー！ええー！すごくすごくすごく嬉しいです（ ; ; ）続編もとっても楽しみです☺︎ (2023年3月5日 11時) (
レス) @page50 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
ちぢぶ(プロフ) - ちとせさん» わ〜！ありがとうございます〜！！是非これからも3人の物語を見守っててくださいませ...！私もちとせさんの作品を愛読させて頂いてます...！！大好きです...ﾍﾍ...^^*こちらこそ応援してます！更新頑張ります！ (2023年3月5日 9時) (レス) id: a1d11d1f69 (このIDを非表示/違反報告)
ちとせ(プロフ) - コメント失礼します☺︎女の子とフレッドくんはもちろん、ジョージくんも可愛くてかっこよくて素敵です、みんな幸せになって〜〜の気持ちで読んでます（ ; ; ）これからも応援してます、すきです♡♡ (2023年3月4日 21時) (レス) @page48 id: eeb6bd2221 (このIDを非表示/違反報告)
ちぢぶ(プロフ) - rapierさん» わー！ありがとうございます...！嬉しいです...更新頑張ります！ (2023年2月25日 20時) (レス) id: a1d11d1f69 (このIDを非表示/違反報告)
rapier(プロフ) - めっちゃくちゃ好きです!応援してます‼︎ (2023年2月25日 19時) (レス) @page7 id: bda167fb53 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちぢぶ | 作成日時：2023年2月18日 0時
