羊というよりヤギですね2

L ページ8

まんまとエサに獲物がかかったことに内心嘲笑しつつ、まだその獲物を泳がせたままにして次の話題へ進む。

火をつけないといけないなら結局アリバイは崩せていないという神木ちゃんの疑問に答えたのは新村君。

あの時、心当たりがありそうな態度を見せていたが、どうやらそれは線香のことだったようだ。



しかし、自動発火装置のトリックがわかったところでもう1つ疑問がある。

無論、狼側も、それは承知であり、だからこそ武器にするわけであるが。



マキ「でもさ、みんなは悲鳴を聞いて駆けつけてきたんだよね？じゃああの悲鳴はどうなるの？まさか幻聴なんて言わないよね？」

リンタロウ「あぁ、それなんだけど


こんなものが現場に落ちてたんだ。」




そう言って、リンタロウ君がポケットからある物を取りだした。


ミサキ「ボイスレコーダー？」

リンタロウ「うん。おそらくこれで犯人は悲鳴を再生したんじゃないかな？

しかもこのボイスレコーダー、結構高機能でプロ仕様だよね？


これってさぁ………マキさんのだよね？」




みんなの視線が、彼女に集まる。


1回目の裁判でも、似たような状況だった。彼は疑われた後、わかりやすく動揺していたけれど、どうやら彼女は違うらしい。


いやぁ、女ってのは、怖いね。


マキ「こ、こんなところにあったんだ…。


実は、昨日から盗まれてたんだよね。」






取り乱すことなく、彼女はそう言った。







リツ「じゃあ、狼がマキから盗んだボイスレコーダーを使ったってこと？」

マキ「実はね、昨日シャワーを浴びてたらなにか物音がして、やばい狼かもって思ってシャワーカーテンの隙間からそっと確認したの。」


ミサキ「えっ、誰やったん？」


マキ「それはね、あの後ろ姿は、確実に

ユキナリ君だったよ。」






…ふむ。そういう所は、彼女も彼も、同じかもね。

Li→←xxxxix

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す