Lxx ページ29
それからまた、数日が経った。
少しでも気を紛らわせたくて、私は部活動に参加することした。
気持ちが落ち着いてからでもいいんだよ、とお父さんは言ってくれたけど、家にいても、お母さんのこととあの事件、両方の事で気が滅入ってしまうと思ったのだ。
…まぁ結局、気を紛らわせることなんて、出来なかったのだけれど。
遠征最終日。
早朝、顧問の先生に呼び出された。
「君のお母さんが、手術を受けられるようになったらしい。
準備のため、家に戻ってくれないかと、君のお父さんから連絡があったんだ。
こちらのことは気にせず、今すぐ戻ってあげなさい。」
『………………は、い。』
嬉しい、という気持ちがなかったわけじゃない。
もちろん、嬉しい。嬉しいの、だけれど。
家に帰ると、お父さんの車はなかった。
もう病院に行ってしまったのだろう。
玄関のドアを開ける。
2階へ上がった私は、半開きになったツヅミの部屋のドアを開けた。
ツヅミは、笑っていた。
お母さんにお世話になった親切な人が、資金を援助してくれたらしい。
そう言うツヅミの笑顔は、とても嘘っぽくて、
でも、とても、怖かった。
そんな笑顔を見せられたら、どうしても、そっか、と返すしかできなかった。
_________
あれから、何週間が経っただろう。
お母さんの手術は、成功した。
まだ退院はできないだろうが、命の危機は去ったらしい。
お父さんはお母さんの看病で病院にいる。
最近は、私とツヅミ2人で、まるで2人暮らしのようだ。
そんなツヅミに、気になることがある。
お母さんが良くなったと言うのに、ツヅミの様子が、最近おかしいのだ。
依然として、部屋にひきこもっている。
よく行っていたボランティアにも、最近はめっきり行かなくなってしまった。
流石におかしいと思って、ツヅミに尋ねた。
何かあるなら教えてほしい。たった1人の妹なのだから、と。
するとツヅミは、わんわんと泣き出し、そして、話し出した。
お母さんの手術費のために、私が目撃したあの事件の情報をかき集め、ジャーナリストやネット掲示板の人に、高額で売買したのだと。
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クライヤ(プロフ) - 白井ゆりさん» そう言っていただけると嬉しいです!!これからも続き更新してきますので楽しみにしててください!! (2022年3月23日 6時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
白井ゆり - かなり続きが気になります‼︎ 続き書くの頑張ってください‼︎ 待ってます‼︎ (2022年3月23日 1時) (レス) @page36 id: fb320e0723 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!!!喜んでいただけているようで嬉しい限りです!!!!これからも更新頑張っていきます!! (2022年3月20日 11時) (レス) @page19 id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - 続編ありがとうございます!占ツクログインしよっかな...ログインしたら間違いなく一番にお気に入り作者に入れます!!!!いつも面白い作品ありがとうございます!応援してます! (2022年3月19日 18時) (レス) @page11 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - 青いGさん» ありがとうございます!!!そう言って頂けると嬉しいです!!いつも読んでくださり感謝の極みです!!!これからも更新頑張ります!!! (2022年3月19日 10時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クライヤ | 作成日時:2022年3月19日 4時