Lxiii ページ22
ミサキは、何も言わなかった。
しかし、そんなのお構い無しとツヅミが言葉を続ける。
『…このゲームを進めていく中で、主催側は参加者にある事を伝えようとしていた。
死んだ人達に似せた人形に添えられたメッセージ、
壁や黒板に書かれた言葉、
……そして、ことある事に名前が出された、"ユウヤ"。』
ミサキ「………
……貴方は、それらが何を示しているのか、わかってるんだね?」
『もちろん。
主催側…君達が伝えたかったこと、つまり、この狼ゲームの真相は…』
もったいぶったように、間を持たせる。
『…それは、5年前に電車で起きた、猟奇殺人事件。
凶悪犯罪者、ユウヤによって夫婦が殺されたあの事件の、復讐劇。
ユウヤという凶悪犯罪者を作り上げ、君の家族をめちゃくちゃにした私達に対する、両親の敵取り……でしょ?』
ミサキ「…………そうだよ。
それじゃあ、どうして君がこのゲームに参加しているかは、わかってるよね。」
『…………。』
視線と視線が交わる。
ピンク色と光に照らされながら。
お互いの思考を読み解こうとでもするように。
『…………もちろん、わかってるよ。
あの時、記事やネットで、あの事件は多くの関心を集めていた。
だからその分、記者とかそういうネットの書き込みをしていた人は、もっと多くの人の関心を自分の記事に向けるためによりコアで詳しい情報を欲しがっていた。
そんな彼らに、彼らが求めるコアで詳しい情報を売買したから……だよね。』
当時。
5年前よりも、もう少し前。
北星ツヅミは、優秀な人物であった。
学業や運動にも、同じ年代のこと比べれば秀でているほど優秀ではあったが、何より彼女が優れていたのは、そのコミュニティの広さであったのだ。
ボランティアや討論会、イベントなど、学校内はもちろんの事、様々な催しに顔を出してはその実力や人柄が認められ、彼女に心を開いた人数は数しれない。
彼女は、愛され、必要とされていた。
それは、家族からも同様だった。
父や、姉妹、そして特段、体の弱い母からは、友達ができたんだ、こんな賞をとったんだと教えてくれる娘は、辛い闘病の中でも誇りであり、心の支えだったのだ。
彼女は、北星ツヅミは、誰が見ても非の打ち所のない人物と言えただろう。
…………あんなことさえ、なければ。
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クライヤ(プロフ) - 白井ゆりさん» そう言っていただけると嬉しいです!!これからも続き更新してきますので楽しみにしててください!! (2022年3月23日 6時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
白井ゆり - かなり続きが気になります‼︎ 続き書くの頑張ってください‼︎ 待ってます‼︎ (2022年3月23日 1時) (レス) @page36 id: fb320e0723 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - なかねこさん» こちらこそ読んでくださりありがとうございます!!!喜んでいただけているようで嬉しい限りです!!!!これからも更新頑張っていきます!! (2022年3月20日 11時) (レス) @page19 id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
なかねこ - 続編ありがとうございます!占ツクログインしよっかな...ログインしたら間違いなく一番にお気に入り作者に入れます!!!!いつも面白い作品ありがとうございます!応援してます! (2022年3月19日 18時) (レス) @page11 id: c7c3a69365 (このIDを非表示/違反報告)
クライヤ(プロフ) - 青いGさん» ありがとうございます!!!そう言って頂けると嬉しいです!!いつも読んでくださり感謝の極みです!!!これからも更新頑張ります!!! (2022年3月19日 10時) (レス) id: 8a85863d1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:クライヤ | 作成日時:2022年3月19日 4時