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拾漆ノ咄 ページ17

とある休日。

今日は探偵社でのバイトも無い為、町に出た。

「何しようかな…」

路地の前を通った際に、そう呟いたら突如悲鳴が奥から聞こえて来た。

僕の本能が、駄目だと云っている。

でも、国木田さんに云われた言葉が頭で巡る。

『探偵社の名に恥じぬ事をしろ』

僕は、駆け出した。

「ほぉ…もう嗅ぎ付けたか」

前を向いたままなのに、僕の足音に気付いたのか、そう云った黒い人。

その人の前には、既に絶命した男が居た。

ゆっくりと振り返る男の顔は、何度も何度も手配書で見た顔。

芥川だ。

此奴に会ったら逃げろ。そう云われた事を思い出し、じり、と後退る。

目を逸らさず、ゆっくりと。

然し、何かに阻まれる。

「?!こっ、此は…」

「貴様とあらば、殺さずとも良かろう。僕も貴様には興味があった」

やつがれ?!?!

えっ、ちょっ、この人今やつがれって云った?!

待って待ってやつがれって何?!?!
真逆一人称?!

「…芥川さん」

「ほぅ、僕を知っているか」

「そりゃあ…有名人ですからね」

「重畳」

クス、と笑う芥川…さん。

…綺麗な人だ。

彼への第二印象はそんな感じ。

「聞き及んでいる。貴様は探偵社に所属しているものの、首領のお気に入りであると」

「…森医師の?」

「嗚呼。然し、其の気持ちも判る」

「は…?」

何故、と問おうとした。

その途端にギリ、と締め付けられる身体。

僕は激痛に悲鳴をあげた。

「そうだ、その表情。その悲痛な声。実に唆る」

狂ってる…!

初めて会ったのに、何でこんな目に…。

「その瞳に、とくと刻み付けよ。僕は芥川龍之介。貴様の名は何だ」

「怜……ッ、です」

「怜、か。憶えておこう」

ドサリと地面に落とされる。

僕は喉を抑え咳をし乍、彼を見上げた。

その美しい顔に歪な笑みを浮かべ、僕を見詰めるこの男の顔を、僕は忘れられないだろう。

「…では、又な」

異能で微かに僕の頬を撫で、彼は路地から出て行った。

「又なんか…要りませんよ…ッ」









げほげほという咳の中で、くつりと笑う、声が聞こえた。

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作品ジャンル:アニメ
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蛍(kei)(プロフ) - あんこさん» 深夜テンションの塊だなぁとは思ったけど突っ込まないでおく((( (2017年2月25日 12時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
あんこ(プロフ) - 蛍(kei)さん» いえー!ありがとー!!夢主君のドレスに突っ込まないでくれてありがとう深夜テンションでこれ殆ど書いたんだ← (2017年2月25日 9時) (レス) id: dcde93e978 (このIDを非表示/違反報告)
蛍(kei)(プロフ) - どもどもー、零御だぜ!やばいナオミちゃん可愛い……(( (2017年2月25日 0時) (レス) id: a4aa4c4dc7 (このIDを非表示/違反報告)
リズ - この作品面白いですね! (2016年11月13日 23時) (レス) id: 9929c522bf (このIDを非表示/違反報告)
蒼月(プロフ) - あんこ様、太宰さんとの絡みを書いて頂き、ありがとうございました!最高に面白かったです!!これからも頑張って下さい! (2016年10月28日 19時) (レス) id: 3767d3feec (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あんこ | 作者ホームページ:http:/  
作成日時:2016年10月8日 18時

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