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雷門夏未お嬢様の話によると、次の練習試合が決まったとのことだ。昨日の帝国学園との試合までは人数が足りず練習試合なんてしたことがなかったから、栗松や半田は特に興奮している。
練習試合は一週間後で、相手は尾刈斗中らしい。
｢ただ試合をやればいいというわけではないわ。今度負けたら、このサッカー部は直ちに廃部｣
｢またかよ……｣
随分と手厳しいお嬢様だ。項垂れる円堂の背中を叩いて慰めていると、夏未が更に言葉を続ける。
｢ただし、勝利すれば……フットボールフロンティアへの参加を認めましょう｣
｢え｣
｢せいぜい頑張ることね。それから……｣
爆弾発言をさらりと流し、今度はAの方を向いた。マイペースな人だなぁと口に出せばブーメランでしかないことを考えていたAは、唐突に初対面の夏未に視線を向けられて首を傾げる。
｢あなたの入部届けだけど、マネージャー希望になっていたからマネージャー兼選手に変えておいてあげたわ｣
｢へ？｣
｢病気の後遺症も段々治ってきているみたいだし、いつかは試合に出られる日も来るでしょう｣
｢まあ、たぶん……｣
｢完治したときにこのメンバーとサッカーをしたいのなら、彼らが勝てるようにサポートなさい｣
何故夏未がAの病気のことだけでなく後遺症の経過まで知っているかは分からないが、どうやら気を配ってくれたらしい。サッカー部を嫌がっているのかそうでないのかは分からないが、Aにはなんとも微笑ましく見えた。これがツンデレというものか。
｢夏未さん……だよね。ありがとう。みんなとサッカーできるようにがんばるね｣
｢私はただサッカー部が無様な姿を晒して我が校の恥にならないようにしているだけです｣
少しだけ頬を染めた夏未は失礼するわ！ と部室から出て行く。
サッカー部員たちは素直じゃない彼女を苦笑いで見送った。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
