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次の日、Aはいつものように授業を受けた放課後、サッカー部の部室へ向かった。同じクラスのはずの円堂には置いていかれたので一人だ。これまでは部員でも何でもないサポート役として入り浸っていたが、今では立派なマネージャーである。
｢A、来たか！｣
｢円堂、行くの早すぎるよー｣
｢そういやお前方向音痴だったな、悪い悪い｣
｢さすがに慣れたから部室までは来れるけどね｣
はははと笑いながら軽く謝る円堂に、Aはため息をつく。昨日の練習試合が終わってから、彼はずっとテンションが高い。さすがはサッカーバカだ。
部室にはもう助っ人を含む部員全員が揃っていた。当然、やる気がないメンバーは一切いない。本格的にサッカー魂に火がついたようで何よりだと思う。円堂はサッカーを愛しているが、同じくらい仲間を大切に想っているのだ。仲間と共にするサッカーでこそ、彼の真価が発揮される。
｢それで、今日はどうするの？｣
｢とりあえず、全員揃ったからミーティング始めるぞ！｣
｢おーミーティングってすごく部活っぽい｣
｢今思えば、そういうの一切してこなかったサッカー部って異常だったよなぁ｣
｢たしかに、ようやく動き出したって感じ！｣
中学校の部活らしくなってきたことに、初期からいるA、染岡、半田は感極まるといった様子で互いの肩を叩き合った。
おじさん臭い三人の絡みを気にせずうんうんと頷き、円堂は改めて話し始める。
｢帝国戦で、俺たちの問題点がわかった、それで……｣
｢問題点も何も、まず体力無さすぎ｣
キャプテンのお言葉をぶった切って突っ込んだマックスに、一同は効果音が鳴りそうなくらいに消沈した。
｢あ、ごめん。今の凹んだ？｣
｢体力は一朝一夕でつくものじゃないからね。そこはおいおい鍛えていけばいいと思うよ｣
Aは苦笑しつつフォローし、円堂に話を続けるよう促す。
｢まあ、体力作りは勿論なんだけど、こんなフォーメーションを考えたんだ｣
円堂がホワイトボードに書いたのは、彼の祖父の特訓ノートにあったというフォーメーションらしい。11番…つまり染岡をワントップに据え、MFを五人円を描くように配置し、DFはゴール前に四人。今の雷門のメンバーから鑑みれば妥当なところだ。
目立ちたがりの目金がFWではないことに文句を言ったが、帝国戦で逃げたことを半田に突っ込まれ、戦略的撤退だと言い訳をする。何とも言えない空気に皆が失笑した。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
