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｢俺はやるぜ!お前らはどうするんだ?｣
｢?｣
誰もいないはずの方向に風丸が話しかけたので、Aと円堂は揃ってそちらを向く。
｢キャプテン、天宮さん……｣
｢どうも……｣
サッカー部の面々も、集まっていたようだ。風丸曰く彼が来るより先に円堂の特訓を見ていたらしい。出てくるタイミングが掴めなかったようである。
｢みんな……！｣
｢キャプテン！｣
円堂が駆け寄ろうとするが、疲労からタイヤの重さに負けて転んでしまい、壁山と栗松が助け起こす。
どこか照れくさそうに円堂に歩み寄ったサッカー部の皆は、他の運動部に声をかけたり、必死に練習を重ねる円堂の姿を見て思うところがあったのだと言う。なんだ、うちのキャプテンはみんなに愛されているではないか。人の心に火をつけることができるひと……それでこそ太陽だ。
心機一転した仲間たちと共に特訓を始めた円堂を見ると、やはりどこまでも眩しい笑顔を浮かべていた。
｢さて、自販機でスポドリでも買っておこうかな〜｣
｢Aー！ なんだか今ならお前の必殺シュート止められそうな気がするんだ！ 打ってくれ！｣
手持ちのお金と在庫が人数分足りるだろうか、と円堂と共に汗だく泥だらけになるであろうサッカー部+風丸を思い、Aは自動販売機に向かおうとするが、興奮気味の円堂に呼び止められる。
まったく、仕方がない。
｢さっきタイヤに吹き飛ばされる直前、必殺技っぽいオーラ出てたから案外いけるかも｣
｢本当か！？｣
｢そう簡単なことではないけど、円堂ならきっと大丈夫だよ｣
｢へへ、シュート頼むぜ！｣
はいはい、と円堂から投げられたボールを胸でトラップしたAを見て、相変わらずだと半田は呟いた。
｢相変わらず？｣
｢天宮、前々からだけど円堂に甘いんだよなぁ。ああやって夜遅くまで特訓に付き合ってるみたいだし｣
｢この前子犬みたいで可愛いって言ってたぜ。必殺シュートも円堂の特訓のために威力を調節出来るようにしたんだと｣
｢キャプテンが……子犬ッスか？｣
｢必殺技って威力調節とかできるんでヤンスね……｣
｢必殺技持ってないから知らないけど、多分普通は無理だろ｣
サッカー部の事情を殆ど知らない風丸が問い返すと、半田と染岡が如何にAが円堂を甘やかしているかを語る。
円堂のために普通でないことを淡々とやってのけるAに、サッカー部一同は末恐ろしさを感じざるを得なかった。
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作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
