17. ページ18
.
鉄塔広場に辿り着く頃には、橙の夕焼け空に深い藍色が滲んでいた。円堂はタイヤを背負ってタイヤを目の前に奮闘している。
両手に花ならぬ両手にタイヤだ。
｢円堂｣
｢A、来てくれたのか！｣
｢うん。相変わらずのタイヤ特訓だね｣
｢ああ、後でお前のシュートで実践させてくれ！｣
｢了解〜。テーピングも消毒もアイシングも準備してきたから、やりたいようにやっていいよ｣
｢お前ってほんと気が利くよなー｣
｢そうかなぁ｣
昼間には多少弱気な姿を見せたりもしたが、今は前向きになっているようで何よりである。
円堂のタイヤ特訓用の耳栓をして、ぼろぼろになっていく彼の様子をただ眺めていた。勢いよく迫ってくるタイヤに立ち向かい、吹き飛ばされて、立ち上がる。もう一度立ち向かい、また吹き飛ばされて、立ち上がる。
本当に諦めの悪い。どんなに痛い思いをしようが、苦しい思いをしようが、彼にとって最も重要なのはサッカーの存在なのである。
優しくて素直じゃない幼なじみに瓜二つだと思った。溢れんばかりのサッカー愛。二人はきっと、誰よりも仲良くなれるはずだ。
ふと、タイヤを受け止めた円堂の手から金のオーラがぶわりと放たれた……と思うと、今までで一番手酷く吹っ飛ばされた。
まったく、驚く暇さえ与えない。今のは恐らく、円堂が身につけたい必殺技の兆候だろうに。
話はあとですることにして、そろそろ一度休憩させようとベンチから立ち上がると、Aが手を差し伸べる前に円堂の前に制服姿の少年が立った。
｢無茶苦茶だな、その特訓｣
｢風丸！？｣
彼は、サッカー部の人間ではない。ならば何故、ここに現れたのか。円堂のサッカーへの想いは、サッカーに無関係な人まで巻き込んで大きな太陽になるというのか。
ああ、本当に……彼は面白い少年だ。
.
ここまで来てアニメの1話分も進んでいないんですよね､､
丁寧に書いていたらこんなことに。展開遅くて申し訳ないです。
そろそろ物語が動き出すかと思われます𓂃 𓈒𓏸
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 137人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：おひめ | 作成日時：2022年7月14日 17時
