【inzm】雷門の天使様 (ページ11)

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｢あーー！！！！｣

　豪炎寺が教室に入ってきた途端円堂がとてつもない大声で叫び、Aは思わず耳を塞ぐ。ちょっとうるさい。

　円堂は真っ直ぐで芯が強くて懐深くて、かと思えば中学生らしい人間味もしっかりと併せ持つ、可愛くもかっこよくもある少年だ。Aはその人柄を面白いと思っているし気に入ってもいるが、こうも大声を出されるとたまらない。
　円堂のタイヤ特訓に付き合うとき用の耳栓をしておけばよかった。

｢なんだ、知り合いか？｣
｢いやぁ、その、知り合いってわけじゃないんですけど……｣

　担任の問いかけに、円堂は曖昧に答える。
　まあ確かに、知り合いという訳では無い。豪炎寺が無視したことで、面と向かって会話をしてもいないのだから。

｢いいから座れ｣
｢あぁあ、はい｣

　円堂が慌てて姿勢を正し、席に着く。

｢今日から我が雷門中に転入となった、豪炎寺修也くんだ。前は木戸川清修中学にいたんだったな｣
｢はい｣

　豪炎寺の表情が固い。円堂に見向きもしないあたり、徹底してサッカーを避けている。大丈夫だろうか、この二人。

　Aとしては豪炎寺がサッカーをしようがしまいが唯一無二の大切な幼なじみであることに変わりはないけれど、豪炎寺の夕香を大切に思う気持ちやサッカー愛を知っているからこそ、心配になってしまう。
　この世界に神がいるのなら、どうしてこの真面目で優しい幼なじみにばかり試練を与えるのだろうか。豪炎寺は、仕組まれているのではと思うほどに苦労人が過ぎる。

　豪炎寺が席につくとき一瞬目が合ったので、とりあえず笑いかけてみる。席が近ければ話せたのだろうが、割と遠かったので諦めた。

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