44.公安の刑事恋物語14 ページ9
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追っていた拳銃密輸の組織を挙げようという日。
別件で調べている件があったらしく
当日の指揮官は降谷さんじゃなかった。
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「山下さんを見捨てるって言うんですか!?」
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殴りかからん勢いで食ってかかる私を、風見さんが押さえる。
会議室に響いた私の声に全員が静まり返った。
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「捜査員一人の命と犯人確保、どちらが重要かなど比べるまでもないだろう。
構わん、強行突破しろ」
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怒りで目の前が真っ赤になるのを感じた。
同時に脳裏に浮かんだのは、あの上司の姿だった。
降谷さんだったら...こんな時、そんな判断をしたりしない。
どこかでそんな確信があった。
風見さんも同じことを考えているのがわかるけど
風見さんよりもずっと理性的じゃない私は
制止の声も耳に入らないまま、考えるより先に駆け出した。
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それどころか、その喫茶店に着くまでの景色すら見えずに
どうやってそこまで辿り着いたのかさえ記憶になくて。
気づいたときには《ポアロ》と書かれたその店の前に
息を切らして立ち尽くしていて。
そこでようやく私は冷静さを取り戻した。
潜入中の接触は慎重かつ無闇に行うものじゃないのは鉄則。
それがどうだ...事前連絡もなしに直接、会いに来てしまった。
だけど頭にちらつく山下さんの顔が離れない。
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山下さんは潜入のエキスパートで
いつもにこにこ優しくて、いろんなことを教えてくれて。
降谷さんも風見さんも取り込み中の時には
陰ながら私をフォローしてくれてたのを知ってるから。
それが普段の冷静さを欠いた原因だったのかもしれない。
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そうして少しの時間が過ぎて
リンっという鈴の音とともに喫茶店の扉が開いた。
お客さんの邪魔になると思って移動しようとした瞬間
私の前に現れたのは安室透で。
一瞬だけ驚いたような表情をした安室透は
すぐに人当たりの良い笑顔を浮かべた。
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「いらっしゃいませ。お好きな席に...」
「降谷さん!」
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時