69.公安の刑事恋物語 (真相)2 ページ34
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「え。お見合い」
「あれ、聞いてません?」
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息子との見合いを迫る常連客に既婚だと断ったものの
ウソだろうと食い下がるもんだから安室さんに相談。
そこで安室さんが頼ったのはまさかの新一君で
有希子さんから借りられないか、と。
復唱した私に梓ちゃんは親切に教えてくれた。
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「なんでも、安物の指輪じゃなく、それでいて新品じゃない方がいいとかで...」
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確かに、よく見てみればその指輪は新品ではなかった。
有希子さんが自分へのご褒美に買った指輪らしい。
物がいいから古びてもいなかったけど。
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「やだ!ごめんなさい、そろそろ閉店だわ!」
「あ、すいませ..................最後に一つだけ...」
「なんですか?」
「安室さんと付き合っ、」
「そんなわけじゃないじゃないですか!炎上しちゃいますよ!」
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半ば食い気味に否定された事実を胸に店の外に出る。
しばらく歩いて、いろは寿司を過ぎたあたりで
うわあああ...と頭を抱えた私のポケットで
スマホが空気も読まずに着信を告げている。
無視しようかと思ったけど、なかなか鳴り止まない。
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「はいAっ!!」
『...なんだ、いつになく機嫌が悪そうだな』
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スピーカーから聞こえたのは、私を振り回した張本人だった。
確認したいことがあるから戻ってこれそうか、と。
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「ちょうどよかったです、私も今、すっごい降谷さんに会いたかったんで!!」
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半分、八つ当たりにも近いような感じで返答して電話を切る。
そして私は、勇み足で警察庁まで戻った。
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「早かったな」
「それで確認したいことって...」
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言い終わらないうちに襟元に手をかけられる。
離れた指先を見て青ざめた。
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「と、盗聴器」
「今回は俺も本気で仕掛けたから大目に見てやる」
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まだ頬を引きつらせながら、指輪の入った箱を差し出す。
私が足早に帰るもんだから仕掛けたとか。
上司の軽率さに額に手を当てて項垂れる。
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「お前は何か勘違いをしているようだが」
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いつの間にか詰められた距離は上司と部下のそれじゃない。
私の左手に降谷さんの指が絡められただけなのに
後ずさろうとする身体は、そうされてはもう振り解けなくて。
降谷さんはわかってたみたいに微笑んだ。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時