61．清き雨音と刑事の魂5 ページ26
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咄嗟に飛び退いた身体は
自分の意志とは裏腹にさらに転がり
気がつけば倉庫から弾き出されていた。
爆弾が登場するレベルの事件は...あの夏以来。
これはヤバいかもと、若干メタ的な推測をする。
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「A...っ、大丈夫...か......！？」
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ぐぐ...と身体を起こした先。
私より入口から離れた場所に、山田さんが吹っ飛んでいる。
近くで横たわっている男はさすがに意識を失っているようだ。
もう一回、周囲を見渡す。
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「.........降谷さん...？」
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そこに、上司の姿はなかった。
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「、降谷さん！！！」
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私の叫び声に反応するように、何かが崩れる音が重なって。
倉庫は何がどうなったのか...あちこちで煙が立ち上っていて。
既に、周囲を照らすほどには炎が広がり始めている。
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「.........山田さん」
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山田さんの懐から手錠を取り出し、男の両手に掛けて
応援を呼びながら、山田さんの傷の具合を見る。
救急隊員が来るまでは持ちそうだということを確かめて
自分にも、気休め程度に応急処置を施した。
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「...、...待、て...」
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何とか歩けそうだと立ち上がった私を見上げて
山田さんは全部わかってるみたいに顔を顰めた。
それでも私を止めようとしないのは
もし俺が逆の立場だったら...ってヤツだ。
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「必ず戻ります。降谷さんと一緒に」
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私は大きく息を吸い込んで
それはもう、物語の主人公の如く
倉庫の中に飛び込んだ。
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「俺ならここにいるが？」
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そう、飛び込むつもり...だったんだけど。
私達がいるよりもさらに倉庫から離れたところに
私が伸した男を担ぎ上げた降谷さんが
呆れたような顔をして、私を見ていた。
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「降谷さ、......っ！？」
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だけど、男を地面にどさりと落としたら
降谷さんがぐらりと私の方に倒れてきて
支えきれなかった私の身体ごと
地面に逆戻りしたのだった。
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「さすがに...疲れたな...」
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ぽつりと呟いて瞳を閉じた降谷さんの
髪の毛が。同じ色した睫毛が...雨に濡れて。
毛先からぽたりと落ちる雨の雫が
頬についた煤も気にならないくらい綺麗で。
静かに、事件の終焉を告げていた。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (
レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です！！！大好きな作品の1つになりました！これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます！ (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね！これで読むの２回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください！応援してます。ありがとうございました！！ (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました！！降谷零という人物が更に好きになりました！！話を読んでいて、表現の仕方？がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました！！これからも頑張って下さい！！ (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ももこ
| 作成日時：2019年3月8日 16時
