56.静かな雨音と公安の男5 ページ21
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『......A!!!』
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スピーカー越しに、風見さんが私を呼んだ。
その声にハッとして...慌てて返事をする。
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『気持ちはわかるが落ち着け』
「......わかってます」
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相変わらず喉の奥は震えたままだけど
助けなきゃ...と、意識を強く持つ。
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風見さんからかいつまんで事の発端を聞く。
安室透として情報収集を行っていた降谷さんは
私達の予想通り、宮野志保が狙われていることを知り
当然、それを阻止しようと動いた降谷さんは
あの《探り屋バーボン》として、再び潜入を試みた。
そこでNOCであることがバレたというわけだけど
ヤツらの要求は、宮野志保の身柄と交換することだった。
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「でも、どうしてNOCだってバレて...」
『組織の中に......警察学校時代の、あの人の同期がいたんだ』
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真実は時として、あっけなく白日の下に晒される。
携帯を握りしめる手に、力が入った。
一度は同じ道を志した人間でも
みんながみんな...彼らのように素晴らしいわけじゃない。
だからこそ、思わずにはいられない。
どうしてあの四人が死ななければいけなかったのか。
どうして降谷さん一人さえも、生かしてくれないのか。
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『そして、このことを宮野志保の耳に入れるなと...降谷さんから入ってきた情報は以上だ』
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あの上司は、それが最後の連絡になるだろうという中で
潜入先に警察関係者がいたこと
正体がバレたことによって指揮が執れないこと
宮野志保には内密にすることだけを伝えて電話を切った。
自分が救出されることなんて考えてないみたいに。
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「A」
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山田さんが、私の右手をガシッと掴む。
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「...俺達の意思は...あの日、お前の右手に託した...!」
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右手の小指を差し出した、あの日。
あの指切りは、その場しのぎの約束なんかじゃなかった。
そうだ...誰一人、諦めてなんかない。
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「大丈夫。公安の男は結構しぶといんだよ」
「っ、はい...!」
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降谷さんはきっと...私達が来るって信じてる。
宮野志保は渡せない。
だけど...降谷零をあげるわけにはいかないんだ。
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57.清き雨音と刑事の魂 ※Side 零※→←55.静かな雨音と公安の男4
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時