【名探偵コナン】トリップしたら終わってた2【降谷零】

54．静かな雨音と公安の男3 ページ19

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宮野志保が言うには



五人目の被害者から検出された今



残る四人からも同じ成分くらいは見つけられるらしい。



これで、全員が毒殺という可能性が浮上した。



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「......わざわざ刺されてたり殴られてたりしたのも、その毒殺を隠すためか」



「被検体として利用していたとしたら、共通点がなかったことも頷けますけど...んん？」



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毒薬を隠すために連続殺人事件にするとか頭おかしいわ。



黒の組織が絡む回は、いつだって水面下でドンパチしていて。



真実を知る者以外は、その驚異にすら気が付かない。



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「彼らの手口にしては、派手すぎる」



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そう...実験に使いたいなら、拉致という手もあるし



殺害方法を同じにすれば愉快犯だと思わせられるし



接点のある人間同士を使えば怨恨の線も疑わせられるのに。



今回のような連続殺人事件にしてしまったら



捜査一課だって...公安だってこうして動いている。



現に、こうして宮野志保だって勘付いている。



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「降谷さんがここに来たり、連絡取ったとかは？」



「いいえ、ないわね」



「お。山本からメールだぞ」



「早いですね」



「降谷さんが調べていたのは例の組織のことと、それから...宮野さんのことだそうだ」



「私？」



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そうか、降谷さんは組織を調べ上げている途中で



宮野志保が関わっていることを掴んでいて



最初から彼女がキーパーソンだと知ってたってことか。



じゃなきゃ、彼女を調べているのはおかしい。



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「...罠、でしょうね」



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私の思考を読み取ったみたいに、目の前の彼女が呟いた。



その瞳からは...罪悪感や嫌悪感、恐怖...そんな感情が伝わる。



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「彼らが、私をおびき寄せるためにやっていると考えるのが妥当だわ」



「...そう、ですね」



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私は新一君でも赤井秀一でも...降谷零でもないから。



この事件はあなたのせいじゃないとか



あなたの作った薬のせいじゃないとか



目を伏せる彼女に、優しい言葉をかけることはできない。



だけど...私は彼女の手を取った。



目の前の彼女は、え...と驚いた様子で固まっている。



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「自分を大切にしてください。私達が必ず解決します」



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誰かの受け売りをはっきりと言い切ったら



ふわりと、花が咲いたような笑みを見せてくれた。



ほらね......哀ちゃんは笑った顔が一番かわいいんだから。



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