53.静かな雨音と公安の男2 ページ18
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ポアロに潜入を続けている理由の一つに
降谷さんが追い続けている残党がある。
お互いが水面下で動き続けて一年と少し。
ようやく尻尾を掴めそうだと聞いてはいたけど
それはヤツらが動き出しているということ。
あの黒の組織が残した爪痕は...たぶん、これが最後。
私達も気を引き締めなくてはいけない今
だからこそ、この連続殺人事件は
何かの始まりな気がして...ざわざわするのだ。
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「はい、A」
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着信を知らせるスマホに応答すると
それは、科捜研からだった。
そろそろ到着することを伝えれば
山田さんがほんの少しアクセルを強く踏んだ。
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「急がせてしまって悪いわね」
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コーヒーを片手に疲れた様子で壁に凭れるその人を見て
私は久しぶりに、飛び上がるほど驚いた。
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「あ、あの...山口さんは?」
「悪いけど彼女には外れてもらったわ...ここでは話せないわね」
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そう言って、奥の個室に促す白衣の女性。
赤みがかった茶髪のボブは、綺麗なウェーブがかかっている。
私のよく知る彼女は...私の知る、小さな姿ではなく。
宮野志保...そう、名乗ったのだ。
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「あの事件...少し気になって、私も個人的に調べていたの」
「個人的に?」
「いつもは、こうして表には出ないのよ」
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だけど、今回は違った。
この漫画を知っていたら、そこから先は聞かなくてもわかる。
表に出ない彼女が関与する理由なんて他に何があるのか。
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「五人目の被害者の体内に薬を投与した形跡があったわ...本当に僅かだけどね」
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その瞬間...被害者に共通点がなかったことが腑に落ちた。
きっとこれまでの被害者は何かしらの実験に利用されている。
それで間違いなく、降谷さんが追ってる方にも関係している。
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「山田さん...降谷さんが直近で調べていたことってわかりますか?」
「山本に調べさせておく」
「宮野さん...それで、その薬っていうのは」
「........."彼ら"が求めていたものと、よく似ていた」
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胸の奥で、ざわざわが広がった。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時