47.月下氷人の勝算 ページ12
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十二月に入ると気候は急に冬めいてくる。
息を大きく吸い込めば、冷たい空気が身体に広がって
これからやってくる本当の寒さの予感が伝わってきた。
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「I don’t want a lot for Christmas♪」
「なーに黄昏れてんだ」
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歌い出し早々、背後から妨害を受けて
仮眠室から戻ってきたばかりの山田さんを睨んだら
デスクでコーヒーを飲んでた山下さんに笑われる。
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「黄昏れてませーん。気分転換ですぅー」
「大体、言っておくけどな......クリスマスなんて...」
「一緒に過ごす相手もいないのにそんな話、聞きたくないですよ!」
「.........え?」
「.........え?」
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そんなの初耳ですけど...みたいな顔をされるから
二人して間抜けな声を出してしまう。
先に口を開いたのは、山田さんだった。
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「お前...降谷さんと付き合ってるんじゃないのか?」
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見に覚えのない話に戸惑っていると
どうやら庁内ではそこそこウワサになってるとか。
なんでも降谷さんの雰囲気が柔らかくなったことと
降谷さんの周りに私のようなタイプの女性がいなかったことが
そのウワサの根源たる要素らしい。
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「降谷さんの周りにいた女性って、とんでもない美女ばっかだったけど。
降谷さん本人の好みなんて考えたこともなかったもんなぁ」
「悪かったですね!とんでもない美女じゃなくて!」
「でもまぁ少なくとも、お前は降谷さんが好きだろ?」
「へぁっ!?」
「いいよ隠さなくても。っていうか隠すだけムダだし」
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助けを乞うように山下さんの方を見れば
申し訳なさそうに微笑んでいて
そこで私は、この部屋の全員にバレていることを悟った。
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「ていうか、だったらウワサを真実に変えちゃえば?」
「いや、でも私......降谷さんの好きな人に見当が付いてるんで...」
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薄々...勘付いてはいた。
確信に変わったのは先週の休暇の時。
たまたま寄ったコンビニ、その向かい側のカフェ。
安室さんと梓ちゃんがいて。
安室さんが...梓さんに指輪を渡しているのを見たのだ。
拳銃密輸の組織を挙げてからしばらく経つけど
依然として、ポアロに潜入中の上司と
涙ぐむ彼女を目にしたら
もうその場になんていられなかった。
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未桜 - 本当大好きですこれドタイプです……。テーマ一本釣りされて参りました。ストーリーも自然だし、キャラクターの魅力がとても引き出されていました! トリップした事に現実味のある主人公へかなり感情移入してしまいました。本当に素敵な作品をありがとうございました! (2021年12月22日 0時) (レス) @page36 id: 22cb640d25 (このIDを非表示/違反報告)
キャラメル(プロフ) - 最っ高です!!!大好きな作品の1つになりました!これからも頑張ってくださいね(^^♪応援してます! (2020年6月8日 15時) (レス) id: b8ac5a9a04 (このIDを非表示/違反報告)
美咲(プロフ) - 最高… (2019年12月14日 17時) (レス) id: f6fdf86c66 (このIDを非表示/違反報告)
神と名乗る凡人 - 最高ですね!これで読むの2回目のなるんですが何回読んでも感動します。上から出申し訳ないんですが、書き方も本当にプロで出せるような文章ですごく引き込まれました。これからも頑張ってください!応援してます。ありがとうございました!! (2019年8月31日 2時) (レス) id: 5e8845cf1b (このIDを非表示/違反報告)
華蓮(プロフ) - 感動しました!!降谷零という人物が更に好きになりました!!話を読んでいて、表現の仕方?がすごく好きです、読んでいて面白かったし、キュンキュンしました!!これからも頑張って下さい!! (2019年4月30日 1時) (レス) id: 28b0b44997 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ももこ | 作成日時:2019年3月8日 16時