臆病者ヒーロー。【水溜りボンド】 (ページ40)

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＃34 ページ40

彼はそっと唇に触れるだけのキスをした。

私にとっても彼にとってもこれが初めてだった。

どんなけ恋愛経験ないんだってね。

「そろそろトミー帰ってくるでしょ。下行こ。」

「またハムスターやるの？」

「とっとこじゃないから。あれランニングだから」

「とっとこ寛太郎。」

「うるさいなあー」

ガチャ

「たでーまー。」

「ほーら。帰ってきた。」

「おかえー！」

「いや、最後『り』が足りねえw」

「あははw」

「あー。たしかに忘れてたなー」

「お前wカンタと一緒wこいつも一回『り』忘れてた事あったw」

「あった？覚えてない。」

「あー。レッドブル飲も。」

「返事無し？」

「トミー。1日のうちに何本飲むか決めたら？
家多分全国で1日のレッドブル消費量1位取れるよ？」

「いやだ。」

「おれ、コーラ。」

「カンタもさ特茶飲もう。ね。綾鷹でもいいけど」

「え。じゃあ爽健美茶。」

「そこは十六茶で。」

「じゃあ特茶にする。」

「なにその基準？」

ほんとこの家は騒がしい。

そんな騒ぐタイプじゃないけどほんとうるさい。

時にはカンタが階段から落ちてくるし、
前まではぷよぷよボールとかスーパーボール落ちてくるし。

なんか落ちてばっかだな。

カンタとキイチが捕まった報道流れるし
カンタが大物女優とお忍びデートするし
襟足がいろんなところにあるし。

最近凝りすぎじゃね？

どっちかがなんか言えばトントン拍子でコントが続いていくし。
ツッコミの切れ味やべえし。
ボケはボケで本当にボケてる時多いし。

この家はうるさいけど落ち着くよね。

どことなくほんわかした空気ある気がするし。

これにcat life流せば完璧だね。

個性の豊か過ぎる仲間たちがいっぱい。

魔王みたいな仲間と

眼鏡をかけた魔術師と

謎の空気を発し続けるADと

ほんわかしてるまんずと

我らが彼氏の臆病者な勇者？

私は勇者に助けられたなにか。

ここに元気さんが加われば

サイコパスな科学者だし

東海が来れば

混沌の創造神。

お魚さんがくれば

7人の騎士。

そんな仲間たちに囲まれながら生活する私は幸せすぎるくらい。

こんなちっぽけでも1人の人間で

誰かの仲間で

家族で＿＿＿

私には恐れるものなどなんにもない。

前さえ向いていればどうにかなる。

助かる保証はないけれど下を向いて歩くよりずっといい。

手を差し伸べてくれる人も下を向いていればわからない。

前を向くことが大切なんだ。

簡単だけど意外と難しい大切な事を教えてくれた。

前を向け。そして歩け。さすればなにかが見つかると。