警戒 困惑 ページ9
NO side
時計の針が十二時で重なった。
高野は自分がいるところを見て、目を疑った。
昔、自分がいた小学校。
この頃は、まだ純粋で友達が沢山いたな、と高野は昔を懐かしんだ。
同時に、周りを警戒した。
「…高野A。
お前を殺そうとした理由を教えてやろうか？」
高野が声のした方を向いた。
ヘラだった。
また何かするのか、と思いながら高野は聞く。
「…教えろ」
「それだ、高野A」
高野は困惑を悟られないようにヘラを見つめた。
「お前は神を全く信じない。敬わない。
尊ばない。
我らあってこその貴様らだ。
何故だ？」
「…簡単でしょう。
神を信じる者もいれば信じない者もいる。
価値観の違い。
貴方達がそれをもたせて人間を生んだ。
というか、私に聞かないでくださいよ。
他にも神を信じない人は山程いる。
そういう人達に聞いてくださいよ」
ヘラは、高野を見た。
高野も、同じようにヘラを見た。
「…要するに、貴方達は私を敬わせるためにした制裁のようなものなのでしょう。
あのカウントダウンとやらは、全て嘘。
他の人がしたように見せかけるための。
…神なのに、自分がしたことは隠したいんですね。
まるで、貴方達が見下している愚かな人間みたいですね」
「……なんだと貴様」
ヘラが額に青筋を浮かべて、地を這うような低い声でそう言った。
普通の人間ならば、おそらく泣いて許しを乞うレベルであろう。
そんな
「…神も、たいしたことないんですね」
嘲笑いながら、高野はそう言い放つ。
心の底がわからない漆黒の死んだ目をしている高野に、ヘラが炎の弾を数千飛ばした。
高野はそれらを全て斬り捨て、ヘラの目の前に立つ。
「…一つ言いたいことがあります。
此処は、私の思い出の場所だ。
…思い出を荒らすな。
神であっても許さねえぞ」
あいも変わらず、高野は死んだ目のままだ。
だが、その目の奥底には確かな怒りが宿っていた。
「…【強制契約魔法】
神は和洋問わず、高野Aの許可した神以外は高野A達の目の前に現れない。
また、間接的に関わるのも禁止とする。
この契約は、高野Aが死ぬまで切れることはない。
…たとえ、神が干渉したとしても。
これにて、契約は結ばれた」
そう言うと同時に、高野は元の場所へ戻っていた。
高野はため息をつき、そして、ふらりと倒れた。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
