そっちかよ。 ページ34
よーし、幽凪に勉強教えよう。
そう思ったが幽凪が優秀すぎて教えることが何一つねえ。
幽凪はやらなくていいワークやってる。
私はやることないからゲームしてる。
コンコンッ
「入っていーい？」
「………」
「よし入りまーす」
無言を肯定と捉えるな。
まあ、私がそういう風に言い始めたんだが…。
「…いや、お前一人じゃねえの？」
「真昼君も聞きたいって言ったからさ。
いいよね」
「…別にいいけど」
寝転がっていた体制から起き上がり、ベッドに寄りかかる。
「…一番聞きたいこと聞いていいか？」
「んー？どぞー」
「瀬龍って誰だ？」
…ん？
いや、人殺したのか的なことを聞かれるかと思ったら全然違うやん。
「「……なんだと…」」
「なっ、なんだよ！」
「いや、人殺したのか的なこと聞くのかと…」
「私もそう思った」
「そ、それも聞きたいけど、先にハッキリしておきたいんだよ！」
そうですか。
「瀬龍ってのは、私の友達」
「本当にそれだけか？」
…んんっ、それは…答えに期待していいかい？
「…本当にそれだけだよ」
「(あ、これA楽しんでるやつや…)」
「え、っと…それじゃ…」
「いやー、本当に話が合う奴でな。
でもよくからかわれてさ…ははっ、今考えたら嫌い嫌いも好きのうち、ってやつか？
…あー、会いてえ…」
最後だけは本音。最初も本音。
真ん中のは事実。本人が言ってた。
「だがよく好きぃーって言ってくれてな。
同級生なのにふわふわしたやつで、甘い声だった。それ以外表現のしようがない」
「…A。ハッキリ聞いていいか？」
「ん？なんだ？」
「Aは瀬龍って人が好きだったのか？」
「うん、好きだったよ」
「………」
「お姉ちゃん、今もその人のこと好きなの？」
「んー？おお、好きだけど」
少し音を立てて、真昼が席を立ち上がりかけた。
そして、すぐに謝りながら座った。
「……いやー、真昼おもしれえな」
「なっ！？」
「だって瀬龍って男じゃねえもん。
瀬龍琴似っつー名前で、れっきとした女」
「本人、苗字で男子と間違われるからこの苗字嫌いって言ってたけど…。
これで３２回目だね、間違われたの」
「地味に多いな！」
苗字だけ聞くと男なのに、全部聞くと女。
普通、瀬龍隼人とかみたいな感じなのにな。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
