小さく黄色い悲鳴 ページ21
しばらくプリントをやっていると、肩をとんとん、と叩かれた。
「…ここ、どうしたらいいんだ？」
真昼が英語の問題を指差して、そう聞いてきた。
「ああ、ここはこの文法を使えばいいんだ。
だから…」
「なるほど！ありがとう！」
いーえ、と返して再び自分のプリントに向き合う。
少し経って、後もう少しで勉強が終わると思ったら、肩に手を置かれた。
誰だ、と思いつつ後ろを見た。
姫名とキリナが小さく黄色い悲鳴をあげる。
「…やっと、見つけた…！」
「ひぇ…」
「……美形だあ…」
小さく悲鳴漏れたぞ、今。
そして琴葉、こいつは美形だが騙されるな。
「僕と付き合ってくれませんか！？」
「お断りします。つか図書館なので静かに」
「ご、ごめんなさい…！
ですが、僕は貴方が諦めきれません！」
「いや、諦めてください」
「一目惚れなんです！」
「だからなんだという話です。
というか一目惚れとかアレルギーなんで近づかないでください」
今私はこの人を塵を見る目で見てる。
いや、ゴミとかを見る目かな。
「…やっぱり、僕貴方のこと好きです」
「顔可愛いからって調子乗んなよクズが」
…あ”っ、やっべやっちゃった。
「…大好きです」
ドエムかそうか。散れ。
「…ところで、付き合っているんですよね？
誰ですか？緑色の髪の人ですか？」
「違います。つかそれ言う必要あります？」
「あります」
「A、いつのに仲良くなったの！？」
「さっき、本を取ってもらった時。
不本意すぎて死にたい」
他の人に笑顔を向けたげて。私はいらない。
真昼の笑顔だけあればそれで十分なんだよ。
「…その彼氏さんって、すごくいい人なんですが？」
「そりゃいい人だよ。お前よりすごくいい。
優しいし家事出来るし気配りできるんだ！
笑顔とか最高だからな！」
「…え…」
真昼の顔がどんどん赤くなっていく。
…やべえ、大きい声出しすぎた。
司書さんに睨まれてる。
「…琴葉、勉強も終わったし帰るか。
もう話したくねえ。
二度と会うこともねえだろ」
「えー、そういうのをフラグって言うんだよ？
まあ、帰ろっか。帰りにアイス食べよう！
じゃんけんで負けた人が奢りね！」
「いやいや、食べたい人は自分でだろ」
「A奢れ！主人だし！」
「自分の金で」
居心地悪くなり始めたので帰ろう。
…もう帰るので睨まないでくださーい。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
