再開 ページ12
琴葉 side
「…Aじゃないの？」
「…何言ってるんだよ、私は私だよ」
「それは弱い人が言うセリフだって言ってた。
だから使わないって。だれ？」
しばらく黙って、それからAが口を開いた。
「…あー、眠いからこうしてればもう少し寝れるかな…って思ったんだけど…。
…ダメ？」
「ダメ」
「それとさ、しばらく起きないかも。
だからと言って寝るな、なんて言うなよ？」
「…だいたいどれくらい？」
「わかんない」
…まあ、一週間かそれくらいだろう。
…あ、そういえば。
「学校再開するらしいね。
この前キリナちゃんに頼まれて学校直した。
だから九月十二日から学校再開だって。
課題やった？」
「そんなもの終業式に終わらせてるよ…」
「え、終わってねえ…」
「まあ、吸血鬼とかC３のゴタゴタがあったから仕方ないといえば仕方ないね。
１０日くらいあるから頑張れば終わるさ」
「綿貫君とかキリナちゃんとかも来るって」
楽しみだなあ。
もう和解したから戦争の心配もないし。
「…ねっむ…」
Aが今にも閉じそうな目をしてそう言った。
「ごめん、もう少し耐えて」
「ねむいねむいねむいねむいねむいねむい」
「そんだけ言える元気があるならもう少し大丈夫だね。
あと、転校生が来るらしいよ」
「んなもん知るか。
相当の悪女じゃない限りスルーする」
「大丈夫、男子。しかも相当のイケメン」
「興味ない」
バッサリ切り捨てたA。
もう少し、せめてもう少し興味持とう！？
「えっと、その子のタイプがツンデレで、サバサバ系で、ゲーオタだったりする子が好きなんだって。
…Aじゃん」
「だが実際会ってみたらそんなでもなかった、なんていう案件もあるからスルーしていいよ」
「…で、転校生をまだ見てもないのにファンクラブが出来上がってるらしい。
女の子とか簡単に虜にするらしいよ」
「文武両道？」
「よくわかったね。そうだよ」
そんな完璧な子いないよ。
Aでさえ頭良いだけなのにね。
最近体育館十周できるようになったらしいけど、それ以外からっきしだし。
「というか、空気読めない系男子か？」
「らしいよ」
「だったらアレだけはやめてほしい。
公衆の面前で告白するの。
恨まれるし果てにはいじめに発展するから」
大丈夫、そうなったら私がAを守るよ。
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作者名：リリムゥ | 作成日時：2018年5月13日 17時
