十三話 (名前)side ページ16
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伝令が入った。
なんでも、上弦だそうだ。
鎌を持ち、急いで走る。
そこには、水の中に閉じ込められた無一郎がいた。
意識が飛ぶ瞬間に舌を噛む。
無一郎が諦めたような笑みを浮かべたとき、私の口から声が出てきた。
自分でもびっくりした。どうあがいても出なかったのに。
鎌を突き立てたら、柄が折れた。
それでも構わず刃を握りしめたら、無一郎が慌てた顔をした。
でもね、こんな命、もともと無一郎のものなんだよ。
親が死んでも悲しいとは思わなかった。
はじめから自分をおもちゃのように扱っていた親だ。
顔は…思い出せるわけ無いか。
泣くなんて面倒くさいこと、しようとも思えなかった。両親は、私が演技以外で泣いたのは産声を上げたきりだといった。
何も楽しいと思えなかった。演技も、武道も、手芸も、勉学も、誰よりもできたが誰よりも打ち込めなかった。
私の生まれてからたった一つの疑問は、なんでできないのに楽しそうなのか、それだけだった。
はずだった。
衣食住を整えるために入った山で、私は初めて人に興味を持てた。
無一郎、あなただよ。
無一郎と話すと、どんなくだらない会話でも楽しかった。
無一郎といると、何もしていなくても心が穏やかになった。
無一郎さえ生きていれば、どうでもよかった。
だから、包帯を巻いていた口元にお面をつけて、表情を動かさないようにした。
昔の私のように。
でも優しい貴方は、鬼殺隊に入って鬼を斬る、といった。
私は怖くなった。貴女を守るために自分に何ができるか考え続けた。
ああ、そうだ。
あなたの盾になろう。あなたが民間人の盾になるのなら、私はあなたを守ってみせる。
そこで私は強い隊士の鍛錬を見て、それらの呼吸の特性を融合した無の呼吸を生み出した。
できるだけ無駄がなく、隙がなく、なめらかな動きになるようにした。一つ一つの筋肉の動きを意識して筋力が人並みでもいいようにした。
そして誰にも言わずに最終選別を突破した。
人なんてどうでも良かった。悪事を働く人なんて星の数ほどいる。どれだけ人に絶望したかわからない。
でも鬼は人を食らう。その中にもし無一郎が含まれていたらと思うと夜も眠れない。だからほぼ不眠不休で鬼を斬り続けた。
出世なんてどうでもいいので烏には任務以上のことをしていないように見せた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
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みぃちゃん - 初めて見ました。頑張ってください!! (2022年1月22日 10時) (レス) @page22 id: 07d077227f (このIDを非表示/違反報告)
天羽ステラ(プロフ) - コメントありがとうございます!これからも頑張ります! (2021年10月13日 19時) (レス) id: f35bb53857 (このIDを非表示/違反報告)
星猫 - 初めまして!とっても素敵ですね!高評価しました! (2021年10月6日 19時) (レス) @page1 id: f84c743866 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:天羽ステラ | 作成日時:2021年10月3日 18時