優しすぎるあなたは。 (ページ8)

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朝

「おはよ、Aさん、起きて？」

目覚まし時計より俺の声の方がいいでしょ？って
朝起きてこない時は起こしてくれる。

『んんっ…、おはよぉ』

「眠い？お疲れかな？」

『んーん、起きるよ、いつもありがと。』

「今日はね、目玉焼き作っ「♩～」、ごめん、電話だ。」

ダイニングテーブルで揺れてるスマホを取りに行くジェシーくん。

起きよう。着替えて、支度して…、そんな中、リビングからの声が響く。

「いやだから、ちげえって。それ前にも打ち合わせで俺はやらないっつったよな。」

「うん、あ？えー…それはだからさ、」

「てかお前の確認ミスだし、この時間に連絡は非常識だろ。俺の大事な時間をとらないでくれる？」

はぁ。っと大きなため息が聞こえ、何故か心臓がバクバクする。

なぜかじゃないか。

だって、あなたの大事な時間を奪っているのは、ほとんどが私なのに。

「Aさん？着替えた？」

『あ、うん、すぐ行くよ。』

いつも美味しいコーヒー。ブラックは、苦すぎる。

ミルクをたくさん入れたのに、今の私には甘ささえも苦く感じる。

「具合悪い？」

わたしの考えすぎて、さらに心配もかけて。

大丈夫大丈夫、今日、田中くんに仕事教えるから早めに行かなきゃと、そんな予定がないのに言ってしまった。

少し残してしまったコーヒー。

「ケーキかなんか食べるかなぁ。」

そそくさとマンションを後にしたわたしは、
彼が疲れ切ったわたしのために何か考えてくれてるなんて知りもしなかった。