優しすぎるあなたは。 (ページ7)

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過去

「受付はこちらです。」

行きたくなかったけど。

『AAです。』

祝わなきゃ。

会場に着くと、会社の人がちらほらと知らない人だらけだった。

「Aちゃん、」

振り向くと、眉を下げながら様子を窺ってくる慎太郎くんがいた。

「来たんだね。」

『うん。』

安心してよ。新郎を連れ去るなんてしないから。

披露宴会場は本当に広くて。

端の方に。姿を確認したら帰ろうと決めて座った。

ようやく時間になって、新郎新婦の登場。

『ゆう、ごくん…』

あぁ。だめだ。

明かりが消えてるからたってもバレない。

すぐに会場から出た。

風にあたろう。少ししたら帰ろう。

そう思って外のベンチに座った。

その時だった。

「お姉さん、大丈…Aさん？」

ジェシーくんに声をかけられたのは。

『ジェシーくん。ははっ、大丈夫じゃないかも。』

溢れ出る涙を手で拭っても拭っても止まらない。

「目赤くなっちゃう、泣いていいから。」

その腕を掴まれて涙がドレスの色を濃くする。

『まだ、好きだった。ねえ、ジェシーくん何がダメだったのかな。かわいげがなかった？優吾くんは優しいから、無理してたんだろうね。』

こんなの彼が困るだけなのに。

「ごめん、Aさん。ごめんなさい。」

なんで謝るの。

「俺が姉さん止めとけばこんなことにならなかったのに。」

掴まれた腕が引っ張られて、抱きしめられる。

「こんなお願い俺の自己満足なんてわかってる。Aさん。Aさんが前に進めるように俺が一緒にいる、ううん、一緒に居させて。お願い。」

『ジェ「今は答えだけが知りたい。」

ジェシーくん何言ってるの。

それはあなたを縛るってことなんだよ。

彼のスーツを濡らしながら。そっと腕を背中に回した。

ああ。なんて事してるんだろう。