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過去
何もかも忘れたくて。
ただひたすら仕事に明け暮れてた日々に。
一枚の白い封筒がポストに入ってた。
折込チラシに混じったそれは、わたしには輝きすぎて眩しかった。
見たくもない。なんで。
あなたが全てだったのに。
ダイニングテーブルの上に置いて、ソファに沈んだ。
あなたが置いてったものも捨てれてないし。
写真だって飾ってる。
未練がましく置いてたそれを捨てて。忘れて。と言われてる気がした。
やっぱり可愛げがなかった?今更思ってもどうにもできない。
あなたが置いてったバイクの手袋もテレビの横に置いてるの。
冬の日は寒いからさって。
あなたが出て行った冬の日の方がわたしには冷たすぎたよ。
ー
ジェシーside
姉さん。
「見て、彼ねバイクが好きで、」
その写真を見せないでよ。
いつだったか、慎太郎と北斗の共通の知り合いとして紹介された彼がいた。
ー
「こいつさ、超いい子捕まえてんだよ!!」
「おいやめろよ(笑)」
ー
あいつの隣には、大人しい女の子がいて。
「もう別れたらしいんだけどね?」
姉さんは知らないんだ。昨日、2人の記念日で写真がSNSでアップされてたこと。
「前の子、すごいめんどくさいらしくてさー、」
そんなはずない。仕事熱心で…
「ねえ、聞いてる?」
「姉さん、やめときなよ、その人に近づくのは。」
え、やだよ。そう言った姉さん。
このとき止めればよかったの?
Aさんは苦しまずに、俺と過ごす日々なんて送らなくてよかったのかな。
「ジェシーみたいに生まれたことを喜んでくれた人なんていないの。」
光を失ったような目の姉さんに、かける言葉なんて。
軽々しく聞こえてしまう。
そう言い訳しないと。
もうなにがなんだか、わからなくなる。
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作者名:エリンギ | 作成日時:2020年7月28日 17時