episode#1 ページ35
バキッという重い音がこの空間に響き渡る。
「う“っ…!」
「「Aにいっ!!」」
その傍らで、一郎に殴られた俺のことを心配して声を上げる可愛い次男坊と三男坊の姿が…
こんなの別に避けようと思えば避けれたし、痛みが最低限になるよう受け身も取ったから大丈夫。
そう思っていると、勢いよく胸ぐらを捕まれる。
「くそ兄貴っ…!!」
「っ…一郎、俺がいない間に随分強くなったね」
「そう言うことが聞きたいんじゃねーよっ!!」
一郎が怒る理由は痛いほどわかる。
まだ幼い弟たちを残して、俺は行方を眩ませた。
まぁ、不可抗力ではあるんだけど…
俺が居なくなった約5年間、一郎には大きな責任を負わせてしまった。
連絡しようにもできなかったから、弟たちを不安にさせた…
俺は捕まれている一郎の手を握り、胸ぐらから離させる。
一郎も十分強いが、俺もこの5年間で結構鍛えてきたので意図も容易く外せてしまう。
「っ…!!」
「ごめんな一郎、二郎、三郎…」
俺は一人一人顔を見ながら言う。
その瞳は、困惑やら不安やらいろんな感情が混ざったような色であった。
「大事なお前たちを残してしまって…沢山不安にさせたし、沢山苦労させたと思う…」
「「……」」
「こんな駄目なお兄ちゃんでごめんな…?今更許されようとは思わない、お前らが気がすむまで殴ってくれて構わない。だからせめてお前たちの…お兄ちゃんのままでいさせてくれないか?」
「Aにいちゃんは駄目なにいちゃんじゃないよっ…!」
「そうですっ!Aにいは立派な、僕たちのお兄ちゃんですからっ…」
「ありがとな、こんな俺にそんな嬉しいこと言ってくれて…優しい子に成長したな」
「「Aにいちゃんっ!!」」
そう言って同時に俺に抱きついてくる二郎と三郎。
それに答えるために、力一杯抱き締め返す。
あぁ、これが所謂両手に花というのだろうなとしみじみ思う。
二人がいい子に成長したのも、一郎のおかげだな。
感謝してもしきれないくらいだ…
「…今回は弟たちに免じて許してやる」
「一郎…」
「だが、条件がある」
「それで許してもらえるなら、俺はなんだってするよ」
「今まで居なかった分、これから埋めてくれたら許してやるよ…」
「っ…!そんなことでいいのか?」
「そのかわり、もう何処にも行かせねぇ…嫌と言うほど束縛してやる」
「っ!おや…罰だと言うのにこんなに幸せなお願いでいいのかな?」
「…」
「ふっ、一郎もやっぱり優しいね!」
‐
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あかねっこ(プロフ) - たかのりさん» 私の代わりに教えて下さりありがとうございます!! (2018年11月3日 16時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
あかねっこ(プロフ) - カリーチェさん» リクエストありがとうございます!!攻め主でいいんですよね?ご期待に添えられるか分かりませんが書かせていただきます!! (2018年11月3日 16時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
カリーチェ - 男主くん攻めをお願いします! (2018年11月1日 19時) (レス) id: e7868645e8 (このIDを非表示/違反報告)
カリーチェ - すいません!間違えました! (2018年11月1日 19時) (レス) id: e7868645e8 (このIDを非表示/違反報告)
たかのり(プロフ) - カリーチェさん» 男主攻め固定ですよ……? (2018年11月1日 15時) (レス) id: e7418c529b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あかねっこ | 作成日時:2018年10月14日 9時