episode#3 ページ12
「送ってあげたいのですが、ちょっと用事があって…すいません」
「ア、ハイ…」
「もう遅いので気をつけて帰ってくださいね?」
そう言って王子くんは綺麗に微笑む。
用事ってその…アレデスヨネ???
何て聞けるわけもなく、私は返事をすることしかできなかった。
「それじゃあお疲れ様です…あ!」
「…?」
王子くんは何かを思い出したようにその左手の人差し指を自分の唇に寄せて私の顔にぐんっと自身の顔を近づけた。
ち、近い近い!!
「ヒウッ…」
「どうかさっきのことはご内密に…できますよね?」
「ひゃ、ヒャイ…」
それだけ言って彼はこの場から立ち去っていった。
私は力が抜けてそのままずるずると座り込む。
「いったい何なのよぉ…!!」
この胸の高鳴りは一体…?
‐‐‐‐
翌日、私はほとんどあの後のことを覚えていなかった。
強いて言えば、あの衝撃的シーンが何度も頭をフラッシュバックして眠れなかったことくらいか…
「はぁ…王子くん今日もかっこいい…」
「も、モブ美…」
「私もあんな彼氏欲しいなぁ…ね!モブ子!」
「ち、違うの…モブ美…」
「ん?何が?」
言いたい…言いたいけど…!!
何故か言えない自分がもどかしい!!
「あ、あの…」
「は、はい…って!!!!かかか観音坂さん!?」
「ヒッ…!?す、すいません!!いきなり声かけて!!」
「い、いえ…ダイジョウブです…」
でたー、今一番会いたくない人…
もうどんな顔したら良いのか…
「あの、この書類の確認…お願いしたいんだけ、ど…」
「ハ、ハイ…」
そう言って書類を受け取ろうとしたその時…
「ギャァッ…!?!?」
「ヒッ…!?な、なんでしょう…」
「そ、それ…」
「?…っ!!!これ、はその!!」
観音坂さんの襟首から見えた首には、赤い点がぽつん、と…
この反応といい、絶対アレですやーん!
昨日のお楽しみで付けられたんだろ?あ?
何か必死に弁解しようとする観音坂さんが可哀想だからフォローしたろ。
「あはは、虫刺されですか?」
「あ!そう!そうなんです…!!」
「そんなところ刺すなんて、えっちな虫ですね!」←
「っ…あ、うぅ…本当に、そう、です、ね…」
やば、フォローするつもりが余計なこと言っちった…
観音坂さん顔真っ赤だし…
私が昨日見たものは夢じゃなかったのね…
「モブ美…」
「どしたの?」
「あんたじゃ王子くんはムリ」
「…はぁ!?」
この日から、私の腐女子への道が始まるのだった…。
180人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒプノシスマイク」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あかねっこ(プロフ) - たかのりさん» 私の代わりに教えて下さりありがとうございます!! (2018年11月3日 16時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
あかねっこ(プロフ) - カリーチェさん» リクエストありがとうございます!!攻め主でいいんですよね?ご期待に添えられるか分かりませんが書かせていただきます!! (2018年11月3日 16時) (レス) id: 11c41707f8 (このIDを非表示/違反報告)
カリーチェ - 男主くん攻めをお願いします! (2018年11月1日 19時) (レス) id: e7868645e8 (このIDを非表示/違反報告)
カリーチェ - すいません!間違えました! (2018年11月1日 19時) (レス) id: e7868645e8 (このIDを非表示/違反報告)
たかのり(プロフ) - カリーチェさん» 男主攻め固定ですよ……? (2018年11月1日 15時) (レス) id: e7418c529b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:あかねっこ | 作成日時:2018年10月14日 9時