王子様に仕えるのは想像以上に大変です。【黄】

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｢"ジェル様"……？！｣



｢あ、ジェルくんだ｣




オレンジ色の髪に 綺麗な翡翠色の瞳が特徴的な"橙ジェル"。


彼も王子様の側近で、仲が悪いという噂を聞いたことがあるが まあ仲良くやっていると思う。


そんなことを考えていると、ジェル様が口を開いた。



｢なー、さっきなにしてたん？｣


いきなり投げかけられたその質問に、思わず目が泳ぐ。


｢いやぁ……その……｣なんていかにも訳ありな感じの言葉しか出てこない。


お願い、莉犬様。助け舟を出して！


という目線を送っていると、 任しといて！ と言わんばかりに自信ありげな莉犬様。


全ては莉犬様に懸かっているのだ。絶対にしくじらないように____




｢キスしてただけだよ｣



真っ赤だった顔が、今度は血の気が引いて真っ青になっていく。


なにが 任しといて！ だ。絶対頼むんじゃなかった。



背中に冷や汗が伝い、この場から逃げ出したくなる衝動に駆られる。



おそるおそるジェル様の顔を見ると、案外驚いていなかった。



｢へぇ、キスしてたんや。ま、そういうのは程々にしとき。なーくんに見つかったらえらい怒られるで……っと、そうだ｣



ジェル様が優しい人でよかった。安心でこの場にしゃがみこみそうになる。



すると、ジェル様は手に持っていた紙の束のようなものを私に手渡してきた。



｢これ、なーくんに渡しといて。俺が行っても門前払いされそうやから｣




一応中身を確認しようと 渡された紙を見ようとすると、｢あー、それは見んといて｣と牽制されたので渋々諦めた。



____ジェル様も色々謎な部分が多い。謎多き男だ。

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