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「____帰りましょうか」
「そうですね」
はい、と手を差し出す王子様。
それに応えるように左手を絡ませる。
王子様の手は温かいから好き。
声にそぐわなくゴツゴツしているけれど、触っていて気持ちいい。
「____指輪、外さないでくださいね」
「そうですね、ですが家事などもあるので……」
洗い物や料理だと、指輪は邪魔になることが多い。
それゆえずっとつけているなんて不可能なのだが。
「……特に今夜」
「はい?」
王子様は ぼそっとなにか呟いたが、声が小さすぎてよく聞こえなかった。
聞き返したが答えてくれず、静かにふたりで歩いている。
「とにかく、今日中は外さないでくださいね。なにがあってもですよ?」
「さすがにそれは……」
反論しようとしたが 圧のある笑顔で睨まれたため断念した。
なぜそんなに忠告されるのか分からないが、逆らうと面倒なことになりそうなので黙っておく。
「____もう夕陽が」
そう言われ 王子様の向いている方を見ると確かに夕陽が。
一日ってこんなに早かったっけ、と思わせるくらい街は楽しかった。
しばらく歩くと、徐々にお城が見えてきた。
外から見るとこんなにも大きいんだ、と驚いてしまう。
……すると、王子様が立ち止まった。
「____ころちゃんに渡したくない。朝まで一緒にいたい……」
ぎゅ、と私の服の袖を掴み、そう訴える。
そして 私の耳元で 囁いた。
「……ね?ここの近くにホテルがあるんです。ふたりで泊まっちゃいましょ?」
「ぁ、だめです、ころん様と約束しましたし」
夜、ころん様と過ごすのを条件に 面倒事なく外に出してくれた。
それを裏切るのはさすがにできない。
「ころちゃんより 僕の方が____」
王子様がなにか言いかけたとき、少し遠くから声が。
「____あ!いた!」
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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 菜々志さん» 菜々志さん ありがとうございます嬉しいです;; (2022年2月19日 11時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
菜々志(プロフ) - 高評価をもっと押させてくれぇぇぇ!!!ww (2022年2月19日 8時) (レス) @page7 id: ec6dd9f0aa (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に作者冥利に尽きます……(T T) 体調にも気を配りながらこれからも更新頑張ります! (2022年1月15日 15時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - こんなに面白いと思った作品は初めてです…!体調にお気を付けて、そして更新も無理せず頑張ってください! (2022年1月15日 12時) (レス) @page50 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» コメントありがとうございます!わたし的に小説を書いていていちばん嬉しいお言葉、本当にありがとうございます…(泣 ) 最近寒いですもんね、体調に気をつけながら更新頑張ります!泡糖さんも体調を崩されませんようにお過ごしください✨ (2021年12月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2021年11月24日 21時