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「あの、本当にこっちの方向で合ってますか……?」
「僕を信じてくださいよ」
パンケーキ屋を出てから ずっと私の手を引き、森の中へ突き進んでいく王子様。
もしかして私、出荷される……?!
と考えてしまうくらい
「……あー、ここからは目隠ししてほしいです」
森の中をただひたすら歩いていると 突然王子様がそう言った。
そしてなにやらバッグを漁っている。
「あ、目隠し忘れちゃった。これでいっか」
すると、身につけていた 黄色いネクタイを
「待ってください、なにをするつもりなんですか」
「大丈夫、目隠しするだけだから」
わずか数秒で視界が塞がれ、方向感覚を失う。
前も後ろも、王子様のいるところも分からない。
「こっちですよ、こっち」
ぎゅっと手を握られ、引っ張られる。
……格好も格好だ。なんだか恥ずかしい。
____しばらく歩くと 王子様が止まった。
「目隠し外しますね」
急激に明るくなった視界。
ゆっくりと目を開けると、そこには____
「野原……?」
ただの野原だと思ったが、よく見るとクローバーが。
小ぶりなクローバーがそよ風に揺れる。
「僕だけが知ってるんです。昔は四葉を見つけたりしたなぁ」
昔を懐かしむように、そう語る王子様。
一方私は、四葉、と思いしゃがみこんで目を光らせる。
「……四葉、早く見つけた方が 相手になんでも言うことを聞いてもらいましょう」
突然そう言われ、「えっ」と声を上げてしまう。
「もう始まってますよ?」なんて言われるから、必死になって四葉を探す。
そもそも四葉があるかどうかも分からない。
でももし王子様が先に見つけてしまったら、どんなお願いを聞かされるか分からない。
それだけは絶対に阻止しなくては……
「うーん、見つからないですね……」
王子様も真剣に探していたのか、見つからないらしい。
これはチャンスなのでは。
できるかぎり集中し、四葉、四葉、……と頭の中で唱えながら探す。
それでも一向に見つかる気配がない。
私も見つかりません、そう言おうとした瞬間 王子様は「あっ!」と声を上げた。
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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 菜々志さん» 菜々志さん ありがとうございます嬉しいです;; (2022年2月19日 11時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
菜々志(プロフ) - 高評価をもっと押させてくれぇぇぇ!!!ww (2022年2月19日 8時) (レス) @page7 id: ec6dd9f0aa (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に作者冥利に尽きます……(T T) 体調にも気を配りながらこれからも更新頑張ります! (2022年1月15日 15時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - こんなに面白いと思った作品は初めてです…!体調にお気を付けて、そして更新も無理せず頑張ってください! (2022年1月15日 12時) (レス) @page50 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» コメントありがとうございます!わたし的に小説を書いていていちばん嬉しいお言葉、本当にありがとうございます…(泣 ) 最近寒いですもんね、体調に気をつけながら更新頑張ります!泡糖さんも体調を崩されませんようにお過ごしください✨ (2021年12月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2021年11月24日 21時