王子様に仕えるのは想像以上に大変です。【黄】

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____ノックを三回し、耳を澄ます。



すると中から｢はーい？｣と声が。



｢失礼します｣



扉を押し開け 中を伺う。


ななもり様は相変わらず机に向かっており、書類が山積みだった。



中には入らず、入口の手前で止まる。



｢どしたの？｣



思いのほか忙しそうで、要件を伝えるのを躊躇ってしまう。


今日も掃除をしよう、誰かに手伝ってもらおう……そう思い 誰に手伝ってもらうか熟考したところ ななもり様に行き着いたということだ。



｢掃除をしようと思いまして____｣



｢そうなの？ちょうど煮詰まってきたから俺もやるよ｣



ななもり様は持っていたペンを机に置き、立ちあがる。


どこまで気の使える人なんだ……



｢ありがとうございます｣



すると、ななもり様はどこからか三角巾を持ってきて頭に着けた。


……可愛い。



｢どう？どう？｣とちょっと嬉しそうにくるくる回っている。



｢もう、すごく可愛いです｣



思わず口に出てしまったが、当の本人は嬉しそうだ。


私は手に持っている雑巾をななもり様に渡し、｢行きましょうか｣と促す。



今日は東棟だ。


東棟は、二代目が増設したもので 鍛えるのが好きだったのか筋トレ用具がたくさんあるとかないとか。




｢Aとお掃除とか何年ぶりだろー。ごめんね、最近忙しくて｣



｢いえ、とんでもないです｣




確かに、最近ななもり様は忙しそうで中々私も声をかけられなかった。


久々にふたりでなにかするかもしれない。




｢____今日は東棟で、物置を整理しましょうか｣

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