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ちょっぴり顔を赤らめながらそう呟く彼。
いやなにを言っているんだ、といつもならつっこめるが 今日はなんだか上手くいかない。朝のオムライスのせいかな。
そんなことを悶々と考えていると、「ねぇ」と声が。
「なんでしてくれないの」
正直可愛い。
すごく可愛い。なんというか、彼のベビーフェイスも相まって母性本能が爆発しそうだ。
一瞬王子様の側近ということも忘れかけたが、メイドの意地でなんとかその意識を取り戻した。
「無理、です……それに莉犬様には断ったんです」
少しバツが悪くて 目を逸らすと、私の頬をむにゅ と掴まれた。
「こっち向いてって」
言われるままに視線を彼に向ける。
すると、彼は目を閉じた。
嫌な予感がして後ずさろうとするも、時すでに遅し。
頬を掴んでいないほうの手で抱き寄せられた。
彼の整った顔が近付いてくる。
もうダメだ、そう思ったとき 遠くから微かに足音が聞こえてきた。
「なっ、なに」
突然のことにころん様も驚いたのか、身体が開放された。
徐々に足音が近付いてくる。
「なにか、知らないですよね……」
「えっ、Aが呼んだんじゃないの?」
彼は私が呼んだと思っていたのか、間抜けな声を漏らした。
「____あっ!いましたいました」
扉の方を見ると、そこには王子様が。
突然の事態に呆気を取られていると、王子様がずんずんと近付いてくる。
「掃除、しているんでしょう?僕も手伝おうと思ったんですけど……ころちゃんもいたんですね?」
ドアに貼ってある紙を見たのだろうか。
にや、ところん様を見つめる王子様は、なにか思惑がありそうだ。
「うん、手伝ってくださいーって泣きつかれてさ。もう大変だったんよ」
明らかに話を盛られている。
反論しようと口を開こうとしたが、ころん様が腕で私を牽制した。
「ふーん、そうだったんですね……もう終わりましたよね?帰りましょ」
いきなり王子様が私の腕を引っ張り、出口へと進む。
後ろを振り向くと、「は、ちょっと待てよ」と早足で追いかけてくるころん様が。
必死に歩くその姿は、なんだかとても面白かった。
・
「____なにこれ」
部屋の前に着くと、紙に変化が。
『西棟にて 掃除中華はじめました♡』
その文字の横には、オムライスにも描いてあった犬がいたのだった。
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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 菜々志さん» 菜々志さん ありがとうございます嬉しいです;; (2022年2月19日 11時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
菜々志(プロフ) - 高評価をもっと押させてくれぇぇぇ!!!ww (2022年2月19日 8時) (レス) @page7 id: ec6dd9f0aa (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に作者冥利に尽きます……(T T) 体調にも気を配りながらこれからも更新頑張ります! (2022年1月15日 15時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - こんなに面白いと思った作品は初めてです…!体調にお気を付けて、そして更新も無理せず頑張ってください! (2022年1月15日 12時) (レス) @page50 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» コメントありがとうございます!わたし的に小説を書いていていちばん嬉しいお言葉、本当にありがとうございます…(泣 ) 最近寒いですもんね、体調に気をつけながら更新頑張ります!泡糖さんも体調を崩されませんようにお過ごしください✨ (2021年12月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2021年11月24日 21時