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唇の横に柔らかいものが当たり、それを理解して 一気に顔に熱が集中する。




「ん、とれた」




「な、な……!」



驚きと羞恥とが混ざりあって 目の前の彼をうまく見ることができない。



一方 彼はというと にやにやしながらこちらを見つめていた。




「ケチャップとっただけだけど、なんでそんなに顔が赤いの」



ずいっと顔が近づき、反射的に避ける。


さとみ様は完全にこの状況を楽しんでいる。屈辱だ。



「と、とり方に問題があるでしょう……!」



「そう?……あ、結婚の話なんだけどさ」



いきなり"結婚"というワードが出てきて身構えてしまう。


今の私の中で 結婚 はあまりいい意味に捉えられない言葉だ。

三ヶ月後には決めないといけないのだから。


もちろん、誰も選ばないという選択肢も残されていなくはないが 多分王子様のことだ。
私が振り向くまでアプローチし続けるだろう。




「俺と結婚したら 逃げよう?」




「逃げる……?」



「そ。こんな狭い国にいてもつまんないし。動物たちと暮らしたいなー」


冗談ではなく 本気で言っていたようだった。


「もし、もしですよ。私がさとみ様を選んだら、国王には……?」


「その権利は放棄する」



そう言い切った彼に、内心とても驚いた。


なんとなく俺様気質というか、国王は向いていそうだと思っていたのに。



……今すぐ彼を選んだらこの現実から逃げられるのかな。

今の状況があと三ヶ月続き、その後に 選ぶか選ばないか。

選ぶとしても六人のうちの一人だ。


そう考えただけで気が滅入りそうになる。

でも、彼を"今"選んだらそれがなくなる。


とても単純なことだけど、中身はとても複雑で。


なんとなく、本当になんとなく

『今逃げてはいけないのではないか』

と本能が訴えている気がする。



それに、私が "この状況から逃げるために"  本気の彼を利用するのはあまりにも残酷だ。



「____ま、考えといて。俺が唯一揺らがないのはAを好きって気持ちだから」



そんな私の様子を察してか、話を切り上げ立ち上がるさとみ様。


けれど 私にはひとつ疑問があった。



「あの、どうして私のこと ……その、す、すきなんですか」

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虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 菜々志さん» 菜々志さん ありがとうございます嬉しいです;; (2022年2月19日 11時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
菜々志(プロフ) - 高評価をもっと押させてくれぇぇぇ!!!ww (2022年2月19日 8時) (レス) @page7 id: ec6dd9f0aa (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡沫さん» 泡沫さん コメントありがとうございます! そう言っていただけて本当に作者冥利に尽きます……(T T) 体調にも気を配りながらこれからも更新頑張ります! (2022年1月15日 15時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)
泡沫(プロフ) - こんなに面白いと思った作品は初めてです…!体調にお気を付けて、そして更新も無理せず頑張ってください! (2022年1月15日 12時) (レス) @page50 id: 7687e77697 (このIDを非表示/違反報告)
虹の根本付近に生息しているアイ(プロフ) - 泡糖さん» コメントありがとうございます!わたし的に小説を書いていていちばん嬉しいお言葉、本当にありがとうございます…(泣 ) 最近寒いですもんね、体調に気をつけながら更新頑張ります!泡糖さんも体調を崩されませんようにお過ごしください✨ (2021年12月30日 8時) (レス) id: c4be3cb89b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:虹の根元付近に生息しているアイ | 作成日時:2021年11月24日 21時

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