―107 心底嫌い ページ7
守護者たちの乱れた息づかいから、毒の威力がどれほどのものか推測できる
少量で野生のゾウすら歩行困難になると言われるほどの猛毒に、例にもれずシルヴァも息苦しそうに地面に突っ伏しているのだが
この暗い裏庭の中で聞こえる呼吸はひとつだけ
「っはは…おかしいな。なんで、お前は立っていられるんだ?トガセ」
辛うじて身じろぎができる程度の苦しみの中、シルヴァの目は針の痛みを感じる前と変化なく、そこに立って自分を見下ろしているAを捉えていた。
疑問を問う声がかすれる
声を発することもだいぶしんどい
Aはシルヴァに完全に毒が回って動くこともままならないこと、さらに自分の体を自由に動かせることを確かめると、彼の懐を堂々とあさり始めた。
「やはりそうか」
モニターで彼らの様子を見ていた面々は言うまでもなく、大いに驚いているがそのうちふたり
フォンとリボーンだけがその仕掛けを知っていた。
「あいつ、了平と変に仲の良い変なヤツだな。なにが起こってんだ?ちゃんと説明しろ!コラ!」
アルコバレーノは総じてストーカーなのだろうか
コロネロはAに会ったことはないはずだが、彼女のことを知っているようだ。
なぜAは動けているのか。リストバンドはちゃんと作動しているのに。とチェルベッロも困惑しはじめたところで、フォンが「耐性ですよ」と言った。
「耐性?」
「ああ、前にアホ牛がトガセの煙草をケースごと取ってきたことがあってな。既成のもんじゃなかったし詳しく調べてみたら、数多の種類の毒が検出されたんだ」
動物毒に植物毒
あらゆる毒や薬の成分を含んだ様々な煙草
それにしたって、デスヒーターは訓練を受けている暗殺部隊をも行動不能にする強い毒
ああして普通に動けるなんて、耐性をつくるのにいったいどれほど時間をかけたのか
「答える必要はない」
「冷たいねぇ」
当然だが、よほど毛嫌いしているようだ。
シルヴァのマントから拳銃を取り出したAはそのままポールの足を撃ち抜き、倒れて落ちたリングを拾うと解毒を行った。
するとAはシルヴァの周りに落ちている鎖で、彼の体を縛り始める
「なにを、する気だ?」
相手が動けないというのは大変都合がいい
緩みもない完璧な拘束をほどこすと、次いでAはシルヴァの服を彼のナイフで裂いて、事前に用意しておいた注射器を腕に突き立てた。
即効性があるらしい
意識が急速に遠のく中で見たAの顔は、やはり雪女のようだとシルヴァは思った。
「殺しはしないさ
耳障りなお前の声を黙らすだけだ」
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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