―104 調教 ページ4
骸とAはその後もしばらく談笑を続けて
夕方、フォンが病院で奇麗にしてもらっていたAの着替えを持ってくるまで、とどまることがなかった。
骸から戻ったクロームに、並中へは一緒に行くか。とAが提案したが
犬と千種が待っているからと、一旦黒曜へ戻ってしまった。
なんとなく気まずいし、クロームにはいてもらった方が助かったんだが、仕方がない
昨晩病院に寝かされてからディーノとクローム、骸と話をしたが、その間も彼の事は頭から離れなかった。
真横より少し先の塀を歩く赤い中華服
いつもと違う雰囲気を感じてるんだろう
リーチが小さな頭を右へ左へ。Aとフォンの顔を忙しなく見比べていた。
ただただ無言
「あの…ありが「その話は、もういいのですよ」
私も焦り過ぎました。とフォンが呟いて、やっとAに目を向けた。
「経緯はどうであれ、貴女は私の生徒。意思をくんで待つのも師の務めでしょう
なにより、敵意も悪意もない人間を組み敷くこと自体、間違いでしたね」
フォンが歩みを止めることも、ましてや緩めることもしないからAはただただついていく
綺麗に脱臼させたから足を痛めている様子はない。違和感もない
しかし一昨日、雪戦でシルヴァの攻撃を受け、ナイフで切られた服の隙間からは打撲からできる痣やかすり傷に混じって、フォンがつけた鎖の痕も残っていた。
それを見たフォンは小さく謝罪する
リボーンといいフォンといい
彼らはなかなか表情が変わらないから、真意が取れなくて困る。とAは自分をかなり高い棚に上げて思った。
このひと、ちゃんと謝ったりするんだ。
「なにか失礼なことを考えていますね?」
「…いえ、別に…」
くりり、と首を傾げてのぞき込むようにしてきたフォンに、冷や汗をかいて顔を背けたA
頭にはフォンと初めて会った日
その夜の事が思い浮かんでいた。
睡眠
食
煙草
あまり生に対して頓着ないと思われかねないほどに、不規則極まりなかったAの生活スタイル
その実態を彼女の顔色から突き止め、改善させようとしたフォンをAは横目で一瞥
まったく相手にしようとしなかったのだが
そんな不届き者に優しくしてくれるほど、寛容な師匠ではなかった。
手も足も出ないまま文字通りこてんぱんにされたその時から、学ぶ側として佇まいを直したのだったと
Aは煙草の残り香が消えた指を嗅いだ。
その時、並中の方から閃光と爆音がしたことで
「来ましたね、急ぎましょう」
そんな思い出にひたる余裕もなくなってしまったが
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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