―125 信頼は怒りへ ページ25
悪魔め
恐らく、イタリアからアジトへ帰ってくるまでのこの3日間で何らかの情報工作をし、逆にAがボンゴレを陥れようとしているなどと密告したのだろう
すべてはAを裏切者に仕立て上げ、ミルフィオーレにとりこむために
Aを部屋から出さないように入り口をふさぐ了平
元より正直者を絵にかいたような男だったのに、嘘をつくのが上手くなったのも大人になったからなのか
いや、嘘はついていないんだろう
了平、ボンゴレはまだAがファミリーの一員であると信じている
信じているから、今こうして試されているのだ。
「…いや、遠慮するよ」
この一言に、微弱だった殺気が姿を現した。
廊下と窓の外、アジト周辺も囲まれているな。
用意周到
情報が漏れたのは一体いつなのか
やってくれる
「っ…ならばせめて、リングと匣を置いてくれ」
「それもできない」
そう答えると了平を押しのけて数人の男たちがゆっくり、だがしっかりとした足取りで部屋に入ってきた。
そりゃあ簡単にいくわけはないだろうな、と
彼らの顔ぶれを見たAは小さく笑ってしまった。
「何がおかしいんすか、先輩」
口を開いたのは裏切りなどという不誠実が許せなかったのだろう、山本だ。
いつものあっけらかんとした爽やかさはどこへやら
身内に向けたことなどないだろう怒気を放って、Aを睨みつけている
山本だけじゃない
獄寺もランボも了平も、その顔からは悲しみと焦りと怒りが見て取れた。
雲雀とクローム、沢田はいないのか
自分に敵意を持つイメージが持てないクロームと沢田は別として、雲雀がいないのは意外だなとAが余所事を考えていたのに気づいた獄寺が吠えた。
「ってめぇ、その様子じゃ情報は間違いじゃねぇみたいだな」
答えろ、と
彼らも、その後ろに潜んでいるボンゴレの刺客たちも
今にも飛び出さんとしているのが気配でわかる
そしてそんな獄寺たちを手で制した了平が、これが最後のチャンスだと叫んだ。
「力づくでもそれらを置かせて、沢田の元へ連れていくぞ
それだけでもまだ証明できる!だから、頼む」
これ以上させないでくれ
歪む了平の顔に吐きそうなほど己の無力さを感じながら、Aは匣をひとつ取り出しながら静かに窓辺へ寄った。
「動くな!!」
獄寺が匣兵器を構えて叫ぶが、Aは少しも躊躇しない
下にはうじゃうじゃと武装した男たち
「…希望なんてないさ」
みるみる顔をしかめていく了平
運が悪い
たまたまAと過ごした時間が長かったばかりに、こんなひどい苦痛を受けることになるなんて
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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