―122 白い悪魔 ページ22
「条件は、君のご両親の命の保証」
ミルフィオーレの情報収集のため、イタリアに出ていたAが、人通りの少ない路地で白蘭と鉢合わせしたのは、偶然じゃなかったはずだ。
白蘭はにこにこと屈託のない笑顔で、Aにタブレット端末を見せる
そこに映っていたのは、被害の及ばないところへと避難したはずの両親の姿
「リアルタイムだよ
君が僕の提案を断れば彼らは死ぬけど、どうする？」
挨拶もそこそこにそう切り出した白蘭は、Aに逡巡する暇さえ与えてくれない
公に敵対していたり、戦争が起こっているわけではないが、いずれそうなることがわかっているファミリーのボス
警戒を最大に、一瞬たりとも緩めることなどできない
ボックスに手を添えて臨戦態勢を作っても、自分じゃ白蘭に勝てないことはわかっていたからAはとりあえず会話に応じた。
｢この時代、その映像程度のフェイク動画を作ることは容易い
それに彼らはボンゴレの最重要機密と同価。お前たちに見つかったとは考えにくい｣
｢ふーん…じゃあ断るんだね？｣
｢当たり前だ｣
そう答えたAに携帯を取り出した白蘭は相手が通話に応じると、ひとつも表情を変えることなく
あの子供っぽい笑顔を崩さないで｢やっちゃって｣と言った。
途端タブレットから響く銃声
倒れた両親の体から深紅の水たまりが広がっていく
それでもまだ、Aはここまで冷静を保っていられた。
よく出来た動画だ。しかしいくらゆすりをかけられたってこれは本物ではない、と
次の瞬間、両親を監視してくれているボンゴレの構成員がフレームインするまでは
｢…は？｣
タブレットの中で血溜まりの両親を抱え、救援を呼ぶ見覚えのある男
次いでAの携帯に着信が入り、Aは大きく肩を揺らした。
発信源は、その男だった。
｢…栂瀬だけど｣
｢栂瀬様、申し訳ありません！
…ご両親が、暗殺されました！｣
映像と、電話の声がシンクロする
｢お二人共額を撃たれて即死、犯人はミルフィオーレファミリーと推測されます！｣
申し訳ありません、と泣きながら何度も叫ぶ男は映像の中で必死に、すでに事切れた両親をかき抱いていた。
そうだ、プライベートでも両親と仲の良い
こういう奴だからふたりを任せたのだった。と場違いなことを思う
通話をきって白蘭に視線を戻すと、彼はまだ笑っていた。
｢じゃあ、次の取引にいこうか｣
面白がるように、真っ白な服に身をつつんだ悪魔が囁いて
Aははりつく喉を無理矢理嚥下した。
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (
レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます！ (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..！シルヴァくんすごく好きです！！続き楽しみにしてますね！ (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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