―120 傷だらけ ページ20
アジトに戻るとすぐ、瀕死のふたりはベッドに転がされて全身の傷に包帯を巻かれ、目が覚めても体を動かすことは出来なかった。
ミイラのようになってしまったのは、獄寺と山本だけではなかったが
「…失礼、向こうの部屋の消毒液がきれてしまったから、こちらのをもらうよ」
強くなる以外に生き残る道はないと沢田とリボーン、目を覚ました獄寺が話しているところにそう言って現れたのはAだった。
「おうトガセ。平気か?」
「うん、もう傷は大方ふさがってるから
山本ももう無駄話が出来るほどには元気そうだ」
獄寺に安心しろ、と言うと素直じゃない
嬉しそうな顔をしてるくせに残念がってみせる憎めないやつだ、とAは鼻で笑った。
未来のA
10年前のいつも会っていたAより口調も声音も柔らかく、落ち着いているところは変わらないがひりつく冷たさが身を潜めたように思う
「それにしてもすごい傷だな」
「ああ、全部白蘭にやられたんだ」
「なっ!リボーン!!」
いまいちばん聞にくい
触れづらいことを
それまで極力Aと目を合わせないように、Aの痛々しい体を見ないように視線を空に漂わせていた沢田と獄寺
そして沢田がリボーンを非難するように声を上げるが、Aは「いいんだ」と制する
「大方、
わかっているとは思うが…これはすべて白蘭のせいだ」
「ああ、だがまぁお前からは聞きたいことがある
グッドニュースも入ったことだし、続きは向こうで話すぞ」
獄寺に快方を祈り、リボーンとAが彼女の傷について話しながらも、リビングルームに向かう途中でグッドニュースの内容
ビアンキとフゥ太が情報収集から戻ってきたことを聞いた沢田は、あからさまに上気する
仲間がだんだんと集まってきている、と高揚していたものだから突然部屋から飛び出してきたふたりに驚いたのも無理はない
驚いたのは向こうも同じことだった。
それも、なんとも言えない。あふれる何かを堪えるような表情で
Aの顔を見たビアンキがか細い声で言う
「…A、本当に…あなたなの?」
「久しぶり、ビアンキ」
ふらふらとAの元まで来ると少し高い位置にある青白く傷にまみれた頬に震える手で触れる
冷たい、けれど温かい
Aの肌はこんなものではなかった。
色素が薄くて綺麗な肌だった。
スキンケアなんてしていないなどと言うから、京子とハルと追いかけ回したのはいつだったか
瞬く間にその目に涙が溢れる
ビアンキは背中を丸め、声を押し殺して嗚咽した。
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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