―119 逃げるな ページ19
ツヅリと呼ばれたカラスは羽の先で倒れたふたりの体を優しく掠めながら低空飛行をすることで、その傷を癒す力があるようだった。
あらかた撫で回してしまうと大きくひと声鳴いてAの肩にとまる
爪がくい込んで、結構痛いんだけどなぁとAは口に出さないが
｢君…草壁って言ったっけ｣
｢はい、お久しぶりです栂瀬さん｣
この10年、もちろんあの雲雀がファミリーらしく群れたりすることはなかったのだが、てきぱきとふたりに応急処置を施している彼のことはAもよく知っていた。
そこでふと、自分の傍に呼吸がもうひとつ増えたことに気がつく
｢
ピスピスと鼻を鳴らしながらAの元まで戻ってきて、頬ずりしてきたコハクの耳をかいてやる
先程までは某アニメ映画の山犬くらい大きかった体が、そこいらの大型犬程度にまで小さくなっていて、かなりの炎を消費したことを悟った。
これがブラックスペルの隊長格か
ここへ来るまで満足な休憩も取れなかったため回復もできず、Aは自分が動ける最低限まで炎を使ったつもりだった。
さすがAランクと言ったところか
まぁそれでも
｢あいつには敵わないさ｣
そう言ったAの目に映る
雲雀の匣兵器である大きなハリネズミがガンマを貫く
雲雀がトンファーでとどめをさしたのと
獄寺と山本の危機を察した沢田とラル･ミルチが神社へ到達したのはほぼ同時だった。
｢ヒバリさん！それにトガセさん！？｣
なんでここに、と言った沢田
すでにこの時代での出来事は伝わっているのか、手っ取り早いのか面倒なのかよくわからないな、とAは立ち上がって沢田を手招きする
｢獄寺と山本をアジトへ運ぶ
コハクの上にどちらかひとり乗せるから、もうひとりを草壁と君で運んで｣
｢は、はい！｣
血と土にまみれたふたりを見た沢田は顔を青くして彼らを悲痛に呼び、震える手でふたりを支えた。
もうほとんど出血は止まっているし命に別状はないが、さすがにこんなところに転がしておくのはよくない
山本をコハクの背に、草壁と沢田が獄寺を両脇から抱えアジトに戻らんと足を踏み出したその時、Aは急に腕をひかれるのを感じた。
｢…なに」
｢皆さん、アジトはこちらです｣
草壁を先頭に、並盛神社に隠されていたアジトへの秘密通路をゆっくり進む
雲雀はすでにAの腕から手を離していたが半歩彼女の後ろを進み、その一挙一動を観察していた。
もっとも
群れるのが大嫌いな彼はその集団行動に耐えきれず
ひとり地下財団へ帰って行ってしまったが
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (
レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます！ (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..！シルヴァくんすごく好きです！！続き楽しみにしてますね！ (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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