―114 未来へ ページ14
沢田から10年バズーカに当たってリボーンがいなくなったと連絡が入ったのは、フォンが帰国した次の日のことだった。
「私があいつに会ったのは昨日の朝が最後だから、先生も帰ってしまったし、知らないよ」
《そうですか…すみません、ありがとうございました。また探してみます》
通話の終了した画面を見ると、携帯端末の番号が表示されている
いつの間に沢田に教えてたんだ。
一応にと、ガラスに指を滑らせて番号を登録して床に伏せ置いた。
ブラッシングを途中で中断したからか、Aのあぐらに座り、反対の手を甘噛みしてくる猫の頭をひとなでしてまたその黒い毛並みにクシを通す
未来編への突入がこんなに早いとは思わなかったな
リング争奪戦の傷が癒える暇もないじゃないか
左手のひらを覆う包帯を撫で、そこまで考えたところでAは自分が10年後の未来も変わらず彼らといるものだと、無意識に思ったことに笑みを零した。
左手を撫でた右手の中指に光る、プレートに雪の結晶が彫られたボンゴレリング
大まかな流れを知っているとはいえ、パラレルワールドのさらに10年後の世界だ。どうなっているかは正直予想がつかないな、とAは唸る
未来に行っている数ヶ月間は、過去のこちらで3日ほどしか経っていないと言っていた。
「…考えても仕方がないよなぁ」
おもむろに携帯へ手を伸ばすと、数少ない連絡先のうちひとつへ発信ボタンを押す
いつも一体何をしているのだろうか、ワンコールも鳴り止まないうちに応答した電話口でとてもはしゃいでいるのがわかる
上気した声がAの耳に流れ込んできた。
《A!どうしたの?》
「やぁ、おはようクローム」
まだ未来へ行ってないのか、避けようがない事だがどこか安心したようにため息をついたAにクロームは心配そうな声
《怪我、痛むの?》
「いや、大丈夫だよ。久々にそっちへ行こうと思って」
それだけ言うとクロームはわかりやすく喜んだ。
Aが来る、それはクロームの中ではイコール体術の稽古をつけてくれるという事と同義だったからだ。
クロームはもう決して弱くはない
それでも何もしないよりはマシだろう
なにより、そんな気休めでもいいから落ち着きたいと思ったのは他ならないAだ。
《じゃあ待ってるね!》
「うん、また後で」
携帯を懐にしまうと猫を膝からおろし、着替えはじめたAはそろそろ沢田や獄寺が向こうへ渡るころだろうかと
むずがゆくて、頬に貼られていた絆創膏を剥がし、薄皮におおわれた傷を撫でる
気を緩めたままではいられない
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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