―113 仲間と信頼 ページ13
「…で?その祝勝会に参加しろと?」
「山本ん家でな、来るだろ?」
「なんで私が行くと思ったんだ」
欠席で、といつの間に家へ上がり込んでいたのか
朝食を食べる猫と久々のスキンシップを交わしていたAの背後に立つリボーンに、そっけなく返事をした。
「なんだ、寿司嫌いなのか?」
「ただ面倒くさいんだ。リングはちゃんと受け取ったんだからもういいでしょ」
「確かに疲れもあるでしょう、気乗りがしないなら無理に誘うべきではありませんよ」
朝イチからどいつもこいつも
先に断わっておくが、リボーンはもちろんフォンだってこんな朝早くから招き入れた覚えはない
ちゃっかり椅子に座ってさも自然にリーチを撫でてやる師をAは疎ましげに一瞥した。
「何か?」
「いえ、何も」
いちいち圧をかけてくる、食えない先生だ。
「しゃーねーな。ヒバリもクロームも来ねぇ事だし、今回は見逃してやる。次は来いよ」
猫はリボーンを気に入ったらしい
ゴロゴロと顎をくすぐられるまま喉を鳴らしていた彼は、離れていくリボーンの指に寂しそうに鼻を鳴らす
当のリボーンはチャオ〜、と軽く身を翻して、そそくさとAの家をあとにした。
本当に、何も聞かれなかったな、とAは素直に帰っていったその背中を見て思った。
疑われるような発言もした。言わなくてもよかった事だった。それでも彼に言いたかった。
昨晩でまた、彼らに多大な疑問を与えたはずだ。
「…貴女が昨晩したことは?」
フォンに出す茶を用意していたAの横から声をかけられる
振り向くとフォンのいつもの柔らかな微笑みを浮かべた、優しい瞳と目が合った。
自分がしたこと
シルヴァを、ランボを
そしてザンザス、チェルベッロ
ヴァリアーの彼らからしたら、余計なお世話だったかもしれないが
「皆を、たすけました」
「ええ、そうです。そして貴女はボンゴレファミリーの継承者。それだけです
笹川了平に言われた時点で気づくべきでしたよ」
これはフォンなりの諭しだ。
Aが味方であるという事に関しては疑う必要が無い、と言ってくれた彼はそれを自分でもよく理解して知っておけと言う
そうか、ディーノから話を聞いた時。聞いただけで理解できてなかったのか
Aはフォンと顔を合わせたまま、視界が光に包まれてスパークしたように感じた。
「彼らは貴女の仲間です。貴女がいくら遠ざけようと、彼らは貴女を信頼しているでしょう
っ!?」
目を見開いたまま頬を流れて行く涙
それが喜びと悔しさを意味するものだということは
A以外に知りえなかった。
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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