―111 終結 ページ11
「俺が欲しいのはボスの座だけだ!!」
かなりダメージを負っている
血を吐いて、その体は苦しみと痛みにもう限界がきているだろうに彼はとまらない
とまれないのだ。
でもだからといって、彼を次期首領にするわけにはいかない
同情しても流されてはいけない
チェルベッロがリング適正の協議を発したが、そんな彼女ににベルフェゴールが切りかかる
「邪魔だっての…ってうお!?」
「ト、トガセ様!」
若干のトランス状態に入っているAは、目にもとまらぬ速さでベルフェゴールとの距離を詰めると、彼の腕を捩じり上げた。
「もう誰も傷つかせない」
マフィアのボスなんて優しいだけではもちろん務まらないがしかし、虐殺と粛正の区別はつけねばならない
「ふーん かっこいいこと言っちゃってるけどさ、それは無理なんじゃねぇの?ししっ」
「どういうことだ!?」
叫んだ獄寺に、マーモンは冷ややかな顔で応える
「じきに総勢50人の精鋭部隊がここへ到着するのさ
そもそもこの戦いが終わり次第、関わった者は全員消すつもりだったんだからな」
「っどこまで腐ってやがる!!」
マーモンの発したあまりの現実に、全員の顔に濃く絶望が走る
そういうこと、と言ってAの手から逃れたベルフェゴールは距離をとると、にやけるように口を歪めた。
「ほら、着いたみたいだぜ?」
たちのぼる土煙の中にゆらぐ複数の影と、砂利を踏む重々しい音
次々と姿を現すヴァリアーの精鋭部隊に皆臨戦態勢をとったが
それは徒労に終わった。
よろりと体から力が抜けるように倒れこんだヴァリアーの隊員たちに、今度はマーモンたちが目を見開く番だった。
よろけながらもその内のひとりが声を張り上げる
「報告します!我々以外のヴァリアー隊全滅。鬼神のごとき男が突然っ
「暴蛇烈覇!!」
隊員の言葉を遮った聞き覚えのある声と風の轟音
地面を抉った暴風に吹き飛ばされた彼らは完全に伸びてしまった。
そしてその向こうから歩いてきた男の顔を見て、Aは隠すことなく声をあげて笑った。
「取り違えるなよ、俺は助けに来たんじゃない。
礼を言いに来た」
「ランチアさん!!」
その顔にはもう、あの時の禍々しさはない
どこか吹っ切れた晴れ晴れしさと堂々たる登場には、頼もしさしか感じられない
次々と敵の隊士たちをなぎ倒していくランチア
その勢いだけで、途切れかけていた希望が急速に結びついていく
Aには既に結末がわかっていた。
銃をおろして、山本たちが残ったヴァリアーの幹部を制圧していく様を彼女は静かに眺めていた。
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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