―101 入院常習犯 ページ1
怪我、と言ってもかすり傷だったので、絆創膏と若干のガーゼ程度で手当は済んだのだが
雪戦からまだ一晩しか明けていない
一応安静のためと、また病院のベッドに横になることを強いられて、Aはため息をついた。
最近家よりも、大分病院に寝泊まりしてる気がする
コンコンと軽いノック
Aが目だけそちらに向けて、扉からディーノの顔が覗いたのは一部想定内だ。
「貴方だけか、リボーンが来なかったのは想定外だな」
「今晩は
「別になんともない。にしても意外だね」
静か、落ち着いている
それが病室に入ってきた時からのディーノの印象
初めて会ったあの日、Aに向けていた敵意が無くなったとは言わないが、その荒さはかなり落ちている
「もうちょっと手荒く、というか拷問でもされると思ってた」
「ご!?あのなぁ、俺たちを一体なんだと」
「マフィアだろ」
少し食い気味に。そこもだが気になったのはそこだけじゃない
僅かに余裕がなさげな、言い換えれば切羽詰まった声
無意識に漏れてしまった声、と言った方が正しいかもしれない
もしかしてこの子は、とディーノの中でまたひとつAに関する可能性がうまれたが、そこを追求するのは今じゃない
「そんな綺麗事だけで、歴史あるファミリーのボスをつとめてるわけじゃないでしょう?」
「…ああ、だがもちろん場合による
何より君は
それに、こっちはフォンから言い聞かせられてたんだ」
「先生に?」
フォンの名前が出るとは思わなかったのか、目を見開いたAのそのぽかんとした顔に、ようやく10も半ば、少女の面影が見えたなとディーノは小さく笑った。
Aにとってそれが気に障ったらしい、顔をそらされてしまったが
「“彼女に対する信頼を揺るがす事は何も無い。私が保証するから何も聞かないでやってくれ”ってな。リボーンには特に強く言ってたぜ」
とりあえずは考える時間が出来て、Aの言ったことが嘘であったとフォンは気づいたはずだ。
それでも、自分がのちに疑われることはいとわず、9代目を助けに向かった。
それが逆に、フォンからある種の信頼を得ることになったらしかった。
もうこちらに顔を向けてくれる気はないのか、Aは左手を包み込んだ右手をじっと見つめていて、顔を上げる気配がない
「あれでもよ、リボーンは君へのボンゴレの発表を撤回するように、上に訴えてるんだぜ?」
「は?」
気の抜けた顔は本日二回目
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なの - 久しぶりに読みに来たのですが、やっぱりぽんかんさんの小説はとっても面白いです。どれだけゆっくりでもいいので、更新いつまでも待っています。 (5月6日 23時) (レス) id: 516891f2ca (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 一夜さん» 長らく更新していてすみません、あたたかいお言葉ありがとうございます。ふたりとも幸せにするために頑張りますので、今後もよろしくお願いします。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
po_poncham(プロフ) - 杏音さん» 長らく更新できずにすみません、シルヴァくんまた出てくるのでお楽しみにしていてくださいませ。 (2022年2月24日 0時) (レス) id: feaf66d49a (このIDを非表示/違反報告)
一夜(プロフ) - 初めまして。ぽんかん様のこの小説がとても大好きで何度も繰り返し読ませて頂いております。トガセちゃんもシルヴァくんもとても大好きです。お忙しいとは思いますが、いつかまた更新されることを願っております。素敵な作品に出会えて幸せです。ありがとうございます! (2020年12月26日 4時) (レス) id: a1724270ec (このIDを非表示/違反報告)
杏音(プロフ) - はじめまして。どちゃくそに好きです私..!シルヴァくんすごく好きです!!続き楽しみにしてますね! (2020年3月14日 4時) (レス) id: 966729f8ef (このIDを非表示/違反報告)
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