くまさんとはちみつ

＊ ページ10

Side：GREEN



やっとの思いで和室にたどり着いた。畳の上には布団が敷いてある。


誰か使ったのかなぁ、なんて思う暇もなく、身体を沈める。
立っている間は余裕があったのに、横になってしまえば全身の怠さがのしかかる。


「っ、いってぇ゛っ、あ゛あ」

痛みと苦しさを紛らわすように、寝返りを打つ。硬い枕が、俺の頭を刺激する。
眠りにつきたい欲望と、寝てはいけないという理性が葛藤する。


でも、頭がガンガン鳴って、到底寝れそうにない。
…寝ちゃったら下に戻れないから、丁度いいか。

しかもラッキーなことに、部屋には時計がついている。12を指す前に戻れば、間に合うな。



あとは、針が回るのを見る自分との戦い。

「、、んっ、はぁ、しんどぃ、んあ゛」

今まで堪えていたのが溢れるように、唸るような声が出る。

身体が脈打つ感覚と、目眩のような気持ち悪さ。



…ジェシーと北斗にお礼言えなかったことを思い出して、悲しくなってきた。

、、泣きたい。
一度そう思ってしまえば、栓が緩むのは簡単だった。

「ぃやだ、こわい、い゛たい゛よ」


「…だれかぁ、た、すけ、てぇ、はぁ」


真っ暗闇に吸い込まれてるみたい。どうなっちゃうんだろう。


…もう、どうなったっていいか。



太陽は、地平線の向こうへと引き摺られていった。暗い大きな影が全身を覆って、光を失う。

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