くまさんとはちみつ

＊ ページ35

Side: RED



＿＿＿慎太郎、最近調子悪そう。


一番乗りでスタジオに着き、溜まっていたチャットに返信を返していたら、やつれた顔をした慎太郎がやってきた。
俺の方を見る余裕がないのか、どさっという音を立ててそのままソファに横たわる。


『ちょっと俺、寝るわ』


オッケーって返事をしながら立ち上がり、そこらへんにあったブランケットを手に取る。慎太郎にかけてあげれば、曲がっていた口角が少し下がる。


すやすやと眠る慎太郎は、子どもみたいで可愛い。肌はこんがり焼けていて、この夏の忙しさを物語っている。



いつもより顔が蒼白い。ちゃんと慎太郎のこと見守っておかなきゃ。


▧ ▦ ▤ ▥ ▧ ▦ ▤ ▥ ▧ ▦ ▤ ▥ ▧ ▦ ▤ ▥


ガチャっとドアが開き、おはよーっと声がする。マネージャーがまとめて迎えに行ったのか、4人が揃って登場した。


おはよう、と小さく囁き、人差し指を口にあてる。

「慎太郎寝てるから、静かに」


今日のリハは長くなるだろうから、なるべく時間ギリギリまで休んでてもらいたい。


Blue『まじか、ごめん』


「全然。慎太郎の寝顔、かわいいよ」


6人揃った時は滅多に楽屋で寝ないから、もの珍しい慎太郎の寝顔を写真におさめる。



少しでも弱った姿を見せてくれたことが、嬉しい。
パンクする直前まで隠しては俺たちに軽い説教を喰らうのが、定番になっていた。


もちろん気づけなかった俺たちも悪いが、あいつはそういう時だけ嘘をつくのが上手い。




軽く喋って時間が過ぎるのを待てば、リハに向かう良い時間。

申し訳ないけど、慎太郎を起こさせてもらおう。

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