くまさんとはちみつ

２. 脆さを（Sub:ALL） ページ17

Side：GREEN



はぁーーーっ、ふぅ。。ん゛っ、はぁ。


楽屋の前で、思わずため息をこぼした。喉が少しつっかかる。


このテレビ局には毎週のように来てるのに、今日は心臓がバクバクいっている。

このあと向かうのは、いつもの所と異なるスタジオ。顔馴染みのないスタッフさんが沢山いるんだろう。


「俺なら、大丈夫、、。多分あの人、俺のこと覚えてないだろ」


芸能界に入って、15年以上。
辛いこともたくさんあったけど、いつも思い出すのは楽しかったことばかり。



＿＿＿それなのに。

ここに来るたびに、脳裏に浮かぶ、イヤな記憶。

忘れようとしても、一度負った傷はいまだに消えない。

撮影をした日付も、目が眩んだ派手なセットも、鮮明に覚えている。



2009年XX月XX日。〇〇テレビの、長寿番組。


俺は、テレビに出る人はみんな優しいんだと、勘違いしていた。

事務所で失敗してどんなに怒られても、テレビ局に来れば俺を可愛がってくれる。
次も頑張ろうねって、応援してくれる。



現実は、そんな甘いものではなかった。

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