105話 ページ9
あれから数日がたった。私は今チームマチルダと共に大会に向けてスイーツづくりをしている。テーマは『チョコレートドレス』だった。
チョコレートドレスなら私も一度作ったことがあるし、慣れていたけど、他四人は初めてだったみたいで私が教えていたが四人とも飲み込みが早く、教えることがなくなっていった。
「(…いろいろあったけど……なんだかんだ言って出来て良かった…麻里や莉緒にも見せたいな〜)」
私はそう思いながら、紅茶を飲んでいると、声が聞こえた。
「あれ?Aちゃん?」
あれ……この声。私が振り向くと、そこには海堂先輩がいた。
「あ、こんにちは。海堂先輩」
「こんにちは。Aちゃん。こんなところでどうしたの?」
……そう言って海堂先輩は相変わらずの笑みを浮かべるが、元気がないように見えた。
「あ、あの海堂先輩。どうしたんですか?」
「……ん?ああ、気にしないで」
そう言って海堂先輩は去っていった。
「(か、海堂先輩……?)」
私は首を傾げることしか出来なかった。
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「……どうしたんだろ?海堂先輩」
元気がなさそうだったしあれは絶対に……麻里関係だ。海堂先輩が元気ないときは大抵麻里関係だし。
「アンリ先生と麻里が婚約したとか?いや、それはないわよね…婚約したのなら私の耳にも入っているだろうし」
でも、元気がないのはそれぐらいの理由しか考えられない。それとも本当に体調が悪いとか?…体調悪いのならカフェに入るだろうか……しかも速攻で帰ったし…
「うーん、次海堂先輩に会ったときに理由でも聞いてみますか〜」
私はそう言うと同時に携帯が鳴った。そこには『麻里』と映し出されている。
「麻里?どうしたの?」
しかし、声の主は麻里ではなく、男の声だった。
「君がAだね。麻里から話は聞いているよ」
「え……?えーと…あなたは?」
身に覚えのない男の声に私は戸惑う。まさか、誘拐…?いやいや、麻里に限って……!そう思っていると男はペラペラと喋りだす。
「あ、申し遅れました。私麻里の婚約者の……」
「え?」
その後の話は頭に入ってこなかった。だって、麻里の婚約者の話だよ?しかも相手はアンリ先生でも海堂先輩でもないなんて!あの二人ならおめでとうと言えたのに!
「……こうなったら、アンリ先生と海堂先輩には聞きださないと!」
私はそう言いながら一人決意を固めていた。
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作者名:かんな x他1人 | 作成日時:2020年8月2日 22時