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玖拾伍 ページ45

鬼舞辻side



「…」


Aが布団から飛び出して行った開けっ放しの襖を見つめながら、私は固まっていた。



私は鬼なので寝る必要は全くないのだが、Aが寝るので私も形だけ一緒に寝るが、実際はAの寝顔を永遠と見つめている。


そして起きる直前に私は寝たフリをするか、起きて着替えているかのどちらかだ。


だが、今回は寝たフリにしたらとんでもない事になった。


最初は拗ねたように、私がAを子ども扱いしているなどの話をしていた。

まぁ、確かに子ども扱いのような事をしているが、それは、Aが子どもらしさ全開で私にぶつかってくるからであって、本当は子ども扱いみたいな事はしないで、むちゃくちゃにしてやりたいが、それをすれば、絶対にAは泣く。あの喧嘩の時みたいに。


まぁ、拗ねてるAも愛おしいなどと考えていれば

急に黙り込んだ。


すると




私の唇に違和感があった。

「大好き。無惨さん。」
この言葉と共に。



あっという間にAは行ってしまい、抱きしめてやる事が出来なかった。
私が放心状態だったというのもあるが。



「………っ。」

手で顔を押さえる。
……熱い。


全ての心臓が締め付けられる。


「A…っ……」



Aが使っている枕を抱き寄せる。


「Aっ…あぁ……Aっ…」


何度も何度も名前を呼びながら抱きしめる。



あぁ、この気持ちをそのままAに伝えてやりたい。

だが、きっとそのままだと、Aは受け止めきれないだろうな。





「……あぁ。愛おしいAの枕。すまなかったな。」


はち切れて羽がふわふわと宙を舞う。




「枕でもAの物ならば愛している。すまなかった。」



そっと枕の残骸を処理する。

今日、Aの新しい枕を買ってこなければ。






「もう誰にも邪魔出来ない。」

私とAな相思相愛。互いに愛し合っているのだから。




これでよく分かった。





「ふっ……」


そっと、指先で自分の唇に触れ、笑みが溢れる。






そろそろ…




そろそろ、少しぐらい…




……Aも子ども扱いはしてもらいたくないとも言っていた。



……少しぐらい……




***




私が無限城から出る時、Aは私の顔をあまり見る事は無かった。

私も知らないフリをしておいた。



赤く染まった彼女の頬で、私はもう頬が緩んだ。

「A、行ってくる。」

「行ってらっしゃい……っ……!」


あぁ。本当に彼女は愛おしい。

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秋栄 - 李由華さん» おぉぉぉ!ありがとうございます!!続編は明日の0時ぐらいには出せればなと思っております!!深夜12時ぐらいにここに来ていただけたら、多分続編行けるはずです!!しっかりと期限までに出来るように努めてまいります!コメントありがとうございました! (2020年5月3日 13時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
李由華 - 続編制作頑張ってください! (2020年5月2日 21時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - 鬼小夜千夢さん» アニメOPでも、少ししか映らないのにカッコ良さは際立って…もう無惨様は美しくカッコイイですよね!この作品でそう思っていただけたのなら光栄です! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - ひろかさん» 鳴女ちゃん本当に可愛いですよねっ(*´▽`*)私も大好きなんです! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
鬼小夜千夢 - 無、無惨様!死にそうなぐらいかっこいいし……あぁもう死にそう(//∇//) (2020年4月29日 17時) (レス) id: 998332dba8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月28日 23時

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