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陸拾壱 ページ11

「…どう……でしょうか?」

そっと尋ねると、無惨さんは優しく微笑んだ。


「似合っている。」
そう言われて、パァァァッと、心が明るくなる気がする。



「あ、この童磨さんから借りた着物返しに行かないと……」

「私が返しに行こう。」

「あ、え…ありがとうございます!」

お礼を言えば、無惨さんはすぐに着物を持って鳴女と呼んでいた。




無惨さんが行ってしまったので、とりあえずさっきの続きから…


ロゼットはオリバー侯爵の屋敷に着き、遣いの者に案内され部屋に通された。
40代前後の人が一人と自分より少し上ぐらいの青年が一人。

侯爵がどちらだが、ロゼットはすぐに分かった。
ロゼットがお礼を言うと、侯爵は微笑み、息子の頼みでと言っていた。
息子の名はオーガスト。サラサラの金髪に水色の瞳。綺麗な人だった。彼はロゼットを見ると優しく微笑んだ。
ロゼットは優しい方々に助けられたのだと心から喜んだ。

オーガストは召使いであるのに関わらずロゼットに優しく接してくれた。
侯爵に仕える他の召使い達も皆ロゼットに優しかった。

しかし……



「あれ?」

本が。


「何度呼んでも気づかないものだからつい。」

「む、無惨さん!ごめんなさいっ!つい本に夢中に…。」

「面白いのか。」

「はいっ!とっても!無惨さんもどうですか?一巻は読み終えたので!」

「いや私は大丈夫だ。それよりA……。」


無惨さんは少し私から顔をそらし、腕を広げた。

「…昨日の夜の分と、朝の分……。」

「っ……はいっ!」


私はギューっと無惨さんに抱きついた。


「……無惨さん?」

結構時間が経っても離してくれない無惨さん。


「……あと少しだけだ。」

更にギュッと抱きしめられる。


無惨さんは優しい。無惨さんを怒らせてばかりの私を見捨てずに、こうして愛してくれる。
それがやっぱり嬉しくて。


だが、幸せの時間は終わるのが早かった。




「…累が……」

ハッとして無惨さんが私から離れる。


「……無惨さん…?」

そっとまた抱きつこうとすると、無惨さんは眉を下げて私の頭を撫でる。


「少し出かける。」

無惨さんは襖を開けて、行ってしまった。



累が……累がって……。

累?



誰だろうか。

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秋栄 - 李由華さん» おぉぉぉ!ありがとうございます!!続編は明日の0時ぐらいには出せればなと思っております!!深夜12時ぐらいにここに来ていただけたら、多分続編行けるはずです!!しっかりと期限までに出来るように努めてまいります!コメントありがとうございました! (2020年5月3日 13時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
李由華 - 続編制作頑張ってください! (2020年5月2日 21時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - 鬼小夜千夢さん» アニメOPでも、少ししか映らないのにカッコ良さは際立って…もう無惨様は美しくカッコイイですよね!この作品でそう思っていただけたのなら光栄です! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
秋栄 - ひろかさん» 鳴女ちゃん本当に可愛いですよねっ(*´▽`*)私も大好きなんです! (2020年4月30日 15時) (レス) id: c61d719ffa (このIDを非表示/違反報告)
鬼小夜千夢 - 無、無惨様!死にそうなぐらいかっこいいし……あぁもう死にそう(//∇//) (2020年4月29日 17時) (レス) id: 998332dba8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:秋栄 | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年3月28日 23時

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